「ボトルネック」とは、ビジネス用語の一つです。ビジネスにおける多様なシーンで利用されている言葉です。一方で、今一つ意味を理解しないまま使っている人も多いのではないでしょうか?本記事では、「ボトルネック」の意味と使用例を解説します。ボトルネックの発見と改善に役立つ、TOC理論(制約条件の理論)についても、5ステップで紹介します。
ビジネスシーンで使われる「ボトルネック」の意味とは?
英語の「ボトルネック(bottleneck)」を直訳すると「瓶(びん)の首」です。水やジュースを入れる瓶の首は細くくびれており液体の流れが悪くなります。それに由来し「交通の難所・進行を妨げる障害」という意味を持つ言葉です。
ボトルネックの意味
ビジネス用語としてのボトルネックは、全作業工程の中で処理能力などが最も低いことで進行を妨げている部分を指します。つまり、目標の達成を妨げる障害・一番の問題点を意味します。工場の製造ラインをイメージしてみましょう。製造ラインでは、どこか一カ所で作業が滞った場合、作業効率の悪化に繋がります。しかし、改善できれば製造ライン全体の生産性を大幅にあげられます。その、「作業が滞っている一か所」を指して「ボトルネック」と言います。工場の生産性だけでなく、人事やITをはじめとした幅広いビジネスシーンで用いられています。
ボトルネックの言葉の使い方例
ボトルネックは、ビジネスの様々なシーンで利用される言葉です。以下はその一例です。
- 「ボトルネックを解消して、売上を増やしていこう」
- 「この工場のネックは、工程Bにあると判明した」
- 「このツールは、複雑な計算におけるボトルネックを解消するために開発された」
- 「あのチームは、リーダーが一人で仕事を抱えてしまうことがネックになっている」
- 「企画提案が毎回通らないためボトルネックを検証した結果、プレゼンの構成を変更することにした」
- 「企画Aが暗礁に乗り上げてしまった。分析の結果、ボトルネックは人材不足であると考えられる」
- 「既存顧客の満足度があがらない要因がアフターサービス不足にあることが判明したため、ボトルネックを洗い出したい」
場合によっては、ネックと略す言い方もあることを把握しておきましょう。
ボトルネックになりえるものの具体例
ボトルネックになりえるものは様々です。製造業においては、製造ラインの中の一工程がボトルネックとなることがあります。IT業界においては、プログラミングの中の処理時間がかかりすぎる箇所を指すこともあります。経営や管理の観点から見ると、働く個人やチームが該当することもあるでしょう。また、ホームページに公開したコンテンツが充実していないことが要因となる場合もあります。いずれの場合も、何が一番の障害であるのかを注意深く見つけていく必要があります。
ボトルネックを発見するTOC理論(制約条件の理論)とは?
ボトルネックの発見と改善に役立つのがTOC理論です。TOCとは「Theory of Constraints」の頭文字で、日本語訳は「制約条件の理論」です。TOC理論の制約条件とは、つまりはボトルネックのことを示します。問題解決のためのボトルネックを発見・解消することで、最小の労力による最大の効果が期待できるという理論です。イスラエルの物理学者である、エリヤフ・ゴールドラットが考案しました。
TOC理論による、ボトルネックを解決するまでの5つのSTEP
TOC理論を用いたボトルネック解決手順を5つのSTEPで紹介します。
STEP1.ボトルネックになっている事象を特定する
現状の問題に対して、何がボトルネックになっているかを洗い出します。すぐに見つかることもあれば、多くの要因が複雑に絡み合っていてなかなか見つけ出せないこともあるでしょう。問題に対する一連の流れを書き出して一つずつ検証していくことが必要になります。
STEP2.ボトルネックを解消する方法を検討する
ボトルネックの洗い出しができたら、解消方法を検討します。最も問題となっている部分であるため、どのような解消方法があるかについて根気強く探っていかなければなりません。このSTEP2の段階での「解消方法の検討」においては、新たに資金や人材を投入するのではなく、現状あるものの中でいかに改善できるかについての検討がメインとなります。
STEP3.ボトルネックに合わせる方法を検討する
ボトルネック単体での問題解消が困難な場合、周りをボトルネックに合わせる方法も検討しましょう。例えば、生産ラインの一か所が業務量が多すぎて滞り、ボトルネックになっている場合は、他の工程からの投入量を減らす、などが考えられます。
STEP4.ボトルネックを改善する
STEP2、3で検討してきたことを実践し、ボトルネックの改善に挑みます。STEP2の段階では、新たな資金や人材を投入することはないと説明しましたが、STPE4で改善できなければ、将来性などを考慮しつつ必要に応じて新資源の投入も検討しましょう。
STEP5.STEP1からのサイクルを繰り返す
STEP4が定着してきた段階で、もう一度現状把握を行います。まだ、目標に足りない場合などはもう一度STEP1のボトルネックの検証から行います。このように、何度も繰り返し見直しや検証、改善を行うことで問題点が解消され、全体的に大きな改善へと繋がります。
まとめ:ボトルネックとなっている課題を解決するにはツールの活用が有効
ここまで、ボトルネックの意味と具体例、そしてTOC理論を利用してのボトルネックの解消方法について解説してきました。TOC理論に基づいたボトルネックの解消により、最小の労力で最大の効果が期待できます。今ある社内資源だけでの問題改善が困難なボトルネックに直面したときには、ツールの活用も検討してみましょう。Utillyでは様々なボトルネック解消に役立つツール情報を紹介しています。是非、こちらの記事もご覧ください。
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