ITPとは?マーケターが知っておくべきWeb広告への影響などを解説

多くのWebサービスでは、各種ユーザーデータをターゲティング広告やWebアクセス解析などに活用してきました。しかしながら、近年ではプライバシー保護の観点でユーザーデータ活用は規制強化トレンドになっています。中でも、影響が大きいトピックスの1つがITPです。ITPは特にデジタル広告に与える影響が甚大と考えらえています。本記事では、特に事業責任者やマーケター向けにITPとは何か?その仕組みや対策方法について詳しく解説します。

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ITPとは 

ITPとはIntelligent Tracking Preventionの略で、Apple社がユーザーのプライバシー保護のためにWebブラウザ「Safari」に搭載したトラッキング防止機能です。ITPを組み込むことによって、ユーザーの行動データを収集・分析を規制しているのです。ITPについて正しく理解するために、まずトラッキングとクッキーについて再確認しておきましょう。

トラッキングとは

トラッキングとは、ユーザーのサイト閲覧情報を収集して、ユーザーの行動やシステムの挙動、データの遷移などを、継続的に追跡・分析することです。このトラッキングを行うことで、広告などのターゲティングが実現可能になります。

Cookieとは

Cookie(クッキー)とは、Webサイトに訪問したユーザーに関する情報を一時的に保存する仕組みを意味します。Cache(キャッシュ)と混同されやすいですが、Cacheは一度表示したサイト側の情報を一時的に保存して、再度訪問した際に高速で表示させる仕組みであるのに対し、Cookieが一時保存するのは、サイトを閲覧しているユーザー側の行動履歴や閲覧情報です。Cookieには、ユーザーが実際に訪問しているWebサイトのドメインから発行される「ファーストパーティーCookie」と、訪問しているWebサイト以外のドメインから発行される「サードパーティーCookie」の2種類があります。サードパーティーCookieは、トラッキングCookieと呼ばれることもあり、主にサイト内に埋め込まれたバナー広告を配信しているドメインのCookieです。

詳しい解説は以下の記事も参照してみてください。

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アップデートを重ねるITP

ITPは1.0→1.1→2.0→2.1→2.2→2.3とアップデートを続けており、アップデートされる度に、削除対象となるCookieの範囲を広げてきました。2017年に実装されたITP1.0では、サードパーティーCookieのみが制限の対象でしたが、2019年に実装されたITP2.1ではファーストパーティーCookieも制限されるようになってきています。現在もアップデートは続いており、今後も規制が拡大していく可能性があります。

ITPで影響を受ける範囲

ITPが実装されているSafariは、Mac OSやiOSといったApple製品専用のブラウザです。日本国内におけるブラウザの使用は、Mac OSではGoogle Chromeのほうがシェア率が高いですが、iOSではSafariのシェア率のほうが高くなります。Androidも含めた全ての端末におけるブラウザシェア率に関しても、モバイル、タブレットともに約6割がSafariを利用しているというデータが報告されています(2020年6月時点)。

また、2020年9月にリリースされたiOS14では、アプリ内のブラウザ機能の多くにもITPが適応されることになりました。さらに、iOS14(iPadOS 14)で動作するブラウザの全てにおいて、デフォルトでITPが有効となっています。つまり、これはiOS版のGoogle Chrome・Firefox・Operaなど、Safari以外のブラウザもITPの対象になったことを意味しています。したがって、現在はITPの影響下にあるブラウザの使用率が、iPhoneのシェア率と近い値になっていると考えられるのです。

上記の理由により、モバイルやタブレットのユーザーがメインターゲットになっている企業は、ITPによって大きな影響があると考えられるため、早急に対策する必要があるのです。

ITPが広告に与える影響

インターネット広告の多くは、サードパーティーCookieを使って情報を集めているので、ITPの影響を強く受けます。

Cookieを使った広告配信の制限

ITPによってサードパーティーCookieは、24時間しか保持できなくなりました。そのため、サイト訪問後24時間分のマークに対してしかリターゲティング広告(Yahoo!広告)/リマーケティング広告(Google広告)を表示できなくなっています。そのため、リターゲティング広告/リマーケティング広告での広告配信のボリュームが減少すると予測されます。さらに、それに伴って売上低下や広告消化額の低下が起きると考えられています。

広告計測に影響

前述の通り、サードパーティーCookieは24時間しか保持できなくなったので、サイトを訪問してから24時間以降のコンバージョンも測定できなくなります。コンバージョントラッキングもCookieを参照しているためITPの影響を受けるためです。

 

ITPの対策について

それではITPに関連する事業者はどのように対策をすればよいのでしょうか?続いてはITPの対策について説明をします。

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計測タグを最新のものに更新する

計測タグとは、サイトを閲覧したユーザーのアクセス情報をウェブサーバーに送信するための短いプログラミングコードです。この計測タグが、ITPの最新バージョンに対応したものに更新されていないと、Google広告やYahoo!広告が正常に機能しない事例が報告されています。各サービスに利用する計測タグを常時最新バージョンに更新できるように心がけましょう。

Cookieに依存しない代替のマーケティング手法を模索する

Cookieの規制が強化される中で、プライバシーサンドボックス(Privacy Sandbox)に代表されるようなCookieの代替案となるマーケティング手法が登場しています。これらの新しい手法に関する情報をキャッチアップしていくことがITP対策に繋がります。自社のサービスに使えそうな手法があれば試用や導入を検討してみましょう。

 

なお、Cookieの後続的技術と言われているローカルストレージ(情報をWebブラウザ上に保存しておく機能)を使うというITP対策もあったのですが、ITP2.3からはローカルストレージにも規制がかかりはじめました。代替案を選ぶ際は、今後規制の対象になる可能性があるかどうかについても視野に入れておきましょう。

おわりに

今後もユーザーのプライバシー関連の規制は強化されていくと思われます。本記事ではITPについて解説しましたが、他のブラウザでも同様の広告のターゲティングを規制する動きがすでに始まっています。例えば、2020年1月にGoogleは、Google ChromeでトラッキングサードパーティーCookieのサポートを2年以内に打ち切ると発表しました。本記事を読んだことを機会に、リターゲティング広告の運用について見直し、今後のITPやトラッキング規制に関する動向に注意を払っておきましょう。

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