労務管理システムは、煩雑な作業が多い労務手続きを効率化してくれるシステムです。入退社手続きや社会保険手続き、マイナンバー管理などの機能が搭載されています。本記事では、労務管理システムの項目や導入するメリット、システムを選ぶ際の5つのポイントについて解説します。記事の後半では、おすすめの労務管理システムを6つご紹介しています。導入する労務管理システムを検討したい方はぜひ参考にしてみてください。
労務管理システムとは?
労務管理システムとは、今までは紙やエクセルでの作業・申請が主流であった労務業務を、システム上で完結させてくれるクラウドシステムのことです。入退社や社会保険に関する続き、年末調整などの機能があります。
労務管理システムの項目・できること
労務管理システムとは、労務に関わる業務をシステム上で行えるシステムのことです。具体的にはつぎのような機能が備わっています。
入退社手続き
従業員の入退社に関わる手続きを行います。社会保険や雇用保険に関わる書類の作成や従業員との雇用契約締結などです。システムによっては電子申請にも対応しており、役所への書類の提出がシステム上で可能となります。
従業員の個人情報の管理
従業員やその家族に関わる個人情報の管理が可能です。マイナンバーの取得や管理にも対応しています。
年末調整
源泉徴収票や扶養控除申告書など、年末調整に関する書類が作成できます。システムによっては、労務管理システム上で従業員の書類の提出状況を管理できます。労務管理システムは、システムごとにできることが異なっています。上記の機能以外に、給与計算や勤怠管理などの機能があるシステムもあります。
労務管理システムを導入するメリット
労務管理システムは、今まで労務担当者や従業員にとって負担になっていた、申請作業に関する手間を削減してくれるシステムです。また、労務管理システムで労務の申請を行うと、その申請を元に従業員の個人情報をシステム上で一元管理できるようになります。
メリット1.書類の作成・郵送などの手間を減らせる
労務管理システムを導入すると、書類を作成したり郵送したりする手間を削減できます。今まで、書類は紙の申請書に必要事項を手書きで記入して作成していた場合も、労務システムでは、すべてWeb上のシステムに入力するだけで完成します。また、システムによっては電子申請に対応しているため、紙の申請書を役所などに郵送する手間がなくなります。労務に関する書類の従業員への配布もWeb上で完結できるため、社内便の数も削減可能です。
メリット2.情報をまとめて管理できる
労務管理システムには個人情報の管理機能が備わっています。そのため、従業員の個人情報をシステム上で一元管理が可能です。従業員から紙で情報を入手していた頃は、申請書の種類ごとに入手できる個人情報の中身が異なっており、そのため従業員の個人情報は複数の申請書に分かれて記載がある状態でした。その中から該当の個人情報を探すには、複数の申請書を確認しなければなりませんでした。労務管理システムを導入すれば、このような事態は解決できます。従業員から情報を得るのもそれを管理するのも、すべて労務管理システム一つで完結できるようになるでしょう。
メリット3.専門的な知識が必要な書類の質問対応の削減
労務管理システムは、労務の知識がない初心者でも簡単に利用できるよう作られています。たとえば年末調整シーズンになると、労務担当者には多くの従業員から年末調整に関する質問が寄せらていました。労務管理システムで年末調整手続きを行えば、これらの質問はほとんどなくなり、労務担当者が質問に対応する手間と時間を削減できます。労務管理システムは、労務の知識がない人でも簡単に年末調整などを行える作りになっているため、初心者の方でも迷うことなく入力を進められるでしょう。
労務管理システムを選ぶ際の5つの比較ポイント
導入する労務管理システムを選ぶときには、これからご紹介する5つのポイントについて検討しましょう。
ポイント1.自社の求める業務対応ができるか
労務管理システムは、システムごとに対応している業務の範囲が異なっています。システムによっては、労務管理に加えて給与計算や勤怠管理の機能もついていることがあります。しかし、すでに給与計算システムや勤怠管理システムを導入している企業にとっては、これらの機能は必要ないでしょう。そのため、導入するシステムを選ぶときには「自社ではどの業務を労務管理システムで実現したいのか」を事前に洗い出し、その業務に対応しているシステムを選ぶ必要があります。
ポイント2.他システムとの連携ができるか
同じクラウドサービス、または他のシステムとデータ連携ができるかどうかも重要なポイントです。労務管理システムに登録されている従業員情報を給与計算システムや勤怠管理システムと連携できれば、手作業で入力しなければならない業務が減ります。
ポイント3.電子申請に対応しているか
労務管理システムの中には電子申請に対応しているシステムもあります。具体的には、年金事務所やハローワークあてへの申請が対象です。電子申請を使って手続きを行いたい場合には、システムに電子申請の機能が実装されているかどうか確認しましょう。
ポイント4.手入力が必要かどうか
どの程度手入力が必要かどうかも、導入するシステムを選ぶ際に確認しましょう。システムによっては、一つの申請書に入力した情報が他の申請書にも反映されたり、また保存されている従業員情報のデータが自動的に張り付いたりします。そのため、どの程度手入力が必要になるのかはシステムによって異なっています。自動反映される部分・されない部分を検討時に確認しましょう。
ポイント5.コストに満足できるか
一定額を毎月支払うシステムや従業員の人数によって支払金額が変動するシステムなど、労務管理システムはシステムによってコストが異なっています。労務管理システムに支払うコストは固定費であり、定期的に支払い続けなければならいコストです。そのため、導入の際には数社から見積書を取得し、満足できるコストの会社を選びましょう。
おすすめの労務管理システム
ここでは数ある労務管理システムの中からおすすめの5つのシステムをご紹介します。
人事評価機能も搭載-SmartHR
SmartHRは、テレビCMでおなじみの労務管理システムです。入退社手続きや年末調整、給与明細書の配布やマイナンバー管理などができます。従業員に直接必要な情報をシステムへ入力してもらうため、ペーパレス化が可能です。また、電子申請にも対応しています。
ポイント
- 人事評価機能も搭載
- 40以上の外部サービスと連携が可能
- 料金の確認には問い合わせが必要
株式会社SmartHR
SmartHR(スマートエイチアール)は人事・労務の業務効率化を実現化する「クラウド人事労務ソフト」です。SmartHRを使うことで、入社手続きや年末調整などの多様な労務手続きをペーパーレス化できます。
労務業務を自動化-ジョブカン労務HR
ジョブカン労務HRは、ワークフローシステムで有名なジョブカンの労務管理システムです。シリーズ累計での導入実績は120,000社以上と多くの企業で利用されています。社会保険や労働保険の手続き、年末調整、従業員情報の管理といった基本的な労務業務を自動化してくれます。
ポイント
- メール・電話・チャットでの無料サポートあり
- ストレスチェックにも対応
- 1ユーザーにつき月額400円(税抜)から導入可能
複雑な労務事務を一つにまとめる-人事労務freee
人事労務freeeは、クラウド会計システムで有名なfreeeの労務管理システムです。freeeシリーズのさまざまなシステムと連携可能なため、勤怠管理や会計、給与計算業務などと労務業務をスムーズに連携できます。チャット・メール・電話によるサポートも提供されており、労務初心者の方でも安心して利用できます。
ポイント
- 法律や条例の改正に自動対応
- 最新のセキュリティ技術と高水準のシステム運用体制で安心
- 月額1,980円(税抜)から導入可能
クラウドでDXを促進-MoneyForwardクラウド
MoneyForwardクラウドは、家計簿アプリで有名なマネーフォワードから提供されている労務システムです。年末調整や給与計算、社会保険手続きに関わる書類の作成、マイナンバーの収集・管理などができます。他のマネーフォワードシステムとも連携可能です。
ポイント
- テレワーク・ペーパーレス・内部統制に対応可能
- プライバシーマーク取得済み
- 月額2,980円から利用可能
株式会社マネーフォワード
MoneyForwardクラウドは、クラウド上での会計・経費・給与・人事労務などの業務を一元管理できるサービスです。中小企業や個人事業主をターゲットにしており、経理業務の効率化や業務の自動化を実現します。
入退社手続きを1クリックに-jinjer労務
jinjer労務は、労務業務に関わるエクセル管理の煩雑さを効率化してくれるシステムです。書類の作成から申請までWeb上で完結できるようになります。入退社手続きや人事情報の管理、社会保険手続きなどが可能です。
ポイント
- スケジュールやTODOを可視化できる
- 他のjinjerシステムと連携が可能
- 1ユーザーあたり月額300円から利用可能
jinjer株式会社
jinjer 人事労務は、人事労務業務を効率化するためのクラウドサービスです。従業員の勤怠管理、給与計算、人事評価など、人事労務に関わる多くの業務を一元管理できます。
労務管理システムの導入で労務業務の効率化を
労務管理システムとは、入退社の手続き・従業員の個人情報の管理・年末調整など労務に関わる業務を効率化できるシステムのことです。労務管理システムを導入すると、これら3つのメリットが得られます。
- 労務の書類の作成・郵送などの手間を減らせる
- 従業員の情報をまとめて管理できる
- 専門的な労務知識が必要な書類の質問対応の削減
労務管理システムはシステムごとに違いがあります。そのため導入するシステムを選ぶ際には、これら5つのポイントをチェックする必要があるでしょう。
- 自社の求める業務対応ができるか
- 他システムとの連携ができるか
- 電子申請に対応しているか
- 手入力が必要かどうか
- コストに満足できるか
労務管理システムが導入できれば、今まで煩雑に感じていた労務業務を一気に効率化できます。複数のシステムを比較検討し、自社に合った労務管理システムを導入しましょう。
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