ROIの意味とは?計算方法、ROASとの違い、費用対効果を高める3つのポイントを解説

マーケティングを実践していく上で重要なのは、様々なデータを分析することで自社の状況、市場のトレンド、ユーザーの動向などを探っていくことです。そうしたデータの中でも重要なのが、投資したコストに対して、どれだけの収益を生み出せたるのかということに関する指標です。本記事では、初めてマーケティング担当になったビジネスパーソンや、これから本格的にマーケティグを学びたいという方に向けて、ROIというマーケティング指標の説明を中心に、それに関連したROASという指標、ROIを最大化するための施策などについて詳しく解説します。

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ROIの意味とは?

ROI(アールオーアイ、ロイ)とは「Return On Investment」の略称で、日本語では「投資利益率」「投資収益率」「投資回収率」などと訳されています。このROIは、あるプロジェクトや施策において投下した投資資本から、どれくらいの利益や効果を得られたのかを表す指標です。営業、販促といった分野でも用いられるデータですが、マーケティングにおいては、マーケティング投資額に対して得た利益を示す指標となります。

様々なマーケティング施策を実施していく上で、どの施策が効果が高く収益の増加に貢献しているのかを見定めていくことは非常に重要です。施策ごとのROIを比較することで、より投資額を増やしていく施策と、コストやプロジェクトそのものを見直していく施策とを、定量的な根拠に基づいて判断することができます。投資に対しての利益率が可視化されることで、限られた企業リソースを効果的に運用していくことができるのです。

ROIの計算方法(計算式)

以下がROIを算出する基本的な計算式になります。

ROI = 利益(売上額−投資額)÷ 投資額 × 100(%)

売上額が850万円、投資額が250万円の場合は「(850万円-250万円)÷ 250万円 × 100=240%」となりROIは240%となります。ROIの値は、数字が高ければ高いほどリターン(効果)があったということを示しています。ここでは利益の計算に投資額という言葉を使いましたが、売上を生むためにかけた諸経費・販売管理費などのコストを総称して投資額としています。他の解説記事では、この投資額の部分をコストの内訳まで含めて計算式にしてあるものもありますが、基本的な考え方は一緒です。

ROIとROASの違い

ROIと似た指標にROASがあります。ここではROIとROASの違いを説明します。

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ROASの意味

ROAS(アールオーエーエス、ロアス)とは「Return On Advertising Spend」の略称で、日本語では「広告費用の回収率」「広告からの売上率」などと訳されています。単に「費用対効果」と訳される場合もあります。このデータは、広告に対して投下したコストに対して、どれだけの収益をあげられたかを測る指標です。

ROASの計算方法

ROASを算出するには以下の式を用います。

売上額÷広告費×100(%)=ROAS

売上額が850万円、広告費が250万円だった場合は「850万円÷250万円×100=340%」となり、ROASの値は340%となります。ROASの値も、数字が高ければ高いほどリターン(効果)があったということを示しています。計算式については、広告費ではなく「広告コスト」や単に「コスト」と解説している記事もありますが、こちらも言葉が違うだけで基本的な考え方は一緒です。

ROASとCPAの違い

もう一つ、広告の費用対効果に関する指標としてよく用いられるのがCPAです。CPA(シーピーエー)とは「Cost Per Acquisition」の略称で、日本語では「顧客獲得単価」と訳されます。このデータは一人の顧客を獲得するためにどれだけの費用がかかるのかを示す指標です。Web広告関連の施策におけるCPAは、広告出稿をした際に1件のコンバージョンを獲得するのにかかった広告費となります。コンバージョンには、ユーザーの様々なリアクションが含まれており、どのリアクションを選択するかによってもCPAが異なってきます。そういった点で、売上やコストといった純粋な金額のみを取り扱っているROASとは異なる指標です。

ROIとROASの使い分け方

ROIはかけた全費用の投資効果を利益ベースで算出しますが、ROASは広告費の売上ベースで算出されます。例えば、広告の費用対効果を利益ベースで見るか、売上ベースで見るかは大きな違いです。ここで重要なのは、ROASの数値が高くてもROIの数値が低ければ、広告費に対して利益は生まれていないという点です。ROASの数値は、投資以上の売上が計上されていれば高くなりますが、事業全体の利益を示すものではなく、あくまでも広告施策に対しての効果を算出しているだけなのです。

ROIはなぜ重視されるの?分析する3つのメリット

ROIはなぜ重要視されるのでしょうか。ここではROIを用いて分析を行う3つのメリットについて解説します。

メリット1.投資の費用対効果を数値で確認できる

マーケティング投資においては、限られた企業リソースを、いかに効果の高い施策へ注力して配分することが重要な鍵となります。そこで投資回収率という同じ前提の上で投資を評価するための指標に関心が高まってきたのです。

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メリット2.規模の異なる事業の効果を比較できる

ROIは投資に対する収益の度合いをパーセントで現した指標です。そのため、規模の異なる企業間や事業間の効果を比較することも可能です。小規模な事業や施策でも、ROIの値が高い場合は、施策を継続するメリットがあると判断することができるのです。IT化が急速に進む技術革新の中で、メインとなる事業の需要が減少傾向にある企業は沢山あります。こうした企業が生き残っていくためには、メイン事業の他に新規事業を開拓していかなければいけません。小規模な新規事業の中から、ROIの数値が高いものを選び出し、投資額を増やしていくことで、さらに収益を高めていくといったことも可能なのです。

メリット3.事業や投資の成功を客観的に分析できる

ROIを基準にして事業や施策を比較することで、限られた予算をどの分野へ投資すべきかを客観的に判断することが可能になります。また、ROIで算出された値を使って、広告費や販促費といった予算を逆算し予算配分のシミュレーションを行うことも可能です。データに基づく予算配分は、社内で承認を得る際にも大いに役立ってくれるでしょう。

ROIを分析するときの注意点

ここでは、ROIを分析するときの注意点について解説します。

1.数値で表せない・数値化しにくい利益を見逃さないようにする

マーケティングにおいては、数値で表しづらい効果を生み出す施策が存在します。例えば、ブランディングによる企業のイメージアップ効果などが、それに当たります。また、短期的には数値化しにくい利益というものもあります。例えばテレビCMは、商品・サービスの認知向上に貢献しますが、短期的な売上には直結しないケースも多々あり、計測する時点によってはROIで良い数値が出ないこともあります。こうした数値化しにくい利益に対しては、ROIの計算式に用いる利益設定を変更することで対応することもできます。テレビCMの場合は、リターン(利益)を、金額ではなく認知度と置き換えて計算することで、適切な費用対効果を導き出すことができるのです。

2.中長期的な施策における収益化のタイムラグに気をつける

ROIで算出できるのは、計算した時点での費用対効果です。マーケティング施策には、ディスプレイ広告やメール広告といった短期的に成果が出やすいものと、SEOやブランディングといった短期的な結果は出にくいが中長期的なスパンで地道に取り組まなければいけないものがあります。こうした中長期的な視点で取り組まなければいけない施策に対して、短期間のデータを用いたROIで費用対効果を判断してしまうと判断を誤ってしまう可能性があります。中長期的な施策では、その時点で効果が出ていなくても積極的に投資していかなければいけない段階が必ずあります。中長期的なプロジェクトの中間報告などにおいてROIを用いる場合は、利益が出るまでのタイムラグも意識して分析することが非常に大切です。

ROIを最大化するための方法とは

ここではROIを最大化するための方法について「利益を上げる」「投資コストを減らす」という2つの側面から考えてみましょう。

1.利益を上げる

利益を上げるためには売上を伸ばすことが大切な要素です。例えば、ECサイトの売上を増加させるためには「ユーザーの訪問数の向上」「CVRの改善」などの施策が挙げられます。また、粗利は売上額から投資費用を引くことによって算出されますので、投資額の一部である「原価のコストを減らす」ことも利益を上げる重要な施策の一つになります。原価コストは下げることは、商品やサービスの質の低下を招くと考える人もいるかもしれませんが、商品やサービスの質の質を下げなくても原価コストを下げる方法はあります。例えば、多数の商品を扱っているECサイトであれば、商品ラインナップを売上の高い商品に絞り込み在庫管理コストを下げることで原価を下げることができます。

2.投資コストを減らす

売上を伸ばした上で、コストを下げると利益率が大きくなります。投資コストを削減するには「広告費を最適化する」「広告のターゲティングやクリエイティブを最適化する」などの施策が挙げられます。例えば、広告費を増やした時点でROIの値が悪くなった場合は、広告費のコストを減らした方が良いという判断材料になります。また、広告のターゲットとなっているユーザー属性を分析にかけ、微調整していくことも投資コストを減らす一つの方法です。

まとめ:ROIとROASを使い分け、事業や投資の費用対効果を改善しよう

費用対効果という言葉は、ビジネスシーンで頻繁に用いられていますが、マーケティングにおいては、ROI、ROASといったようにより詳細な指標を用いて分析にかけることが本記事を通して分かったかと思います。高度経済成長期のように、あらゆる投資に企業リソースを注ぎ込んでいく時代は終わりました。ここ数十年は、日本経済の成長も鈍化し、さらに度重なる自然災害やコロナ禍によって社会的な不安が増加しています。こうした時代を企業が生き残っていくためには、限られた企業リソースを、低コストで最大限の効果を上げる施策に注力していくことが重要になってきます。これから本格的にマーケティングに取り組むビジネスパーソンの方は、本記事で解説したROIやROASといった指標を適切に使い分け、事業や投資の費用対効果を分析できるようになっておきましょう。

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