近年、スクレイピングは、リスト作成やデータ収集などにおいて役立つことから注目を集めています。とはいえ、スクレイピングについて、特徴や利用する際の注意点などについて詳しくない方も多いのではないでしょうか。スクレイピングをうまく活用することで、大量のデータ収集やCSVファイルにまとめる作業を効率化できます。ただし、マナーを守って正しく利用しなければ、法に抵触する可能性もあるので注意が必要です。そこで本記事では、スクレイピングを活用するメリットとデメリット・注意点について解説します。その上で、おすすめのスクレイピングツールを9つ紹介します。
スクレイピングツールを活用するメリット
スクレイピングツールを活用するメリットは下記の2つです。
- 膨大なデータを効率的に抽出できる
- 自動化することで業務効率化が叶う
それぞれ詳しく見ていきましょう。
膨大なデータを効率的に抽出できる
インターネット上には膨大な情報があるため、それらを人間の手で収集し、まとめるには時間と根気が必要です。場合によっては、従業員を情報収集などの作業にまわさなければならないこともあるでしょう。そこで、スクレイピングツールを活用すると、データの収集を半自動化できるため、従業員に負担をかけず必要なデータのみ抽出できます。そのため、人手不足の企業や膨大なデータの処理にまで手がまわらなかった企業も、データの抽出を行い、それらのデータを活かして新たなビジネスチャンスを生み出せるようになるでしょう。
自動化することで業務効率化が叶う
前述のとおり、データの収集には時間や手間がかかります。これらの業務を自動化することで、従業員は他の業務に集中できるようになるでしょう。また、情報収集などの煩雑な業務の自動化は従業員の労働時間削減にもつながります。従業員のオーバーワークや残業が課題となっている企業は、スクレイピングツールを導入することで、これらの課題を解決できるかもしれません。
スクレイピングツールを活用するときのデメリット・注意点
スクレイピングツールにはメリットだけではなく、デメリット・注意点もあります。デメリット・注意点を留意せずに利用すると、思いがけないトラブルが生じることもあるので、十分に注意してください。スクレイピングツールを活用するときのデメリット・注意点は下記の4つです。
- スクレイピングするサイトの利用規約を確認する
- スクレイピング先への負担をかけすぎない
- セキュリティリスクを鑑みる
- スクレイピングしたデータは加工せずに活用しない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
スクレイピングするサイトの利用規約を確認する
スクレイピングを利用する際は著作権法を尊守しなければなりません。著作権法は私的使用のための複製、情報解析を目的とした複製、検索エンジンの提供のための利用を認めています。しかし、サイトの利用規約によっては、スクレイピングの行為自体が禁止されていることもあります。利用規約内に「スクレイピング行為の禁止」と明記されているにもかかわらずスクレイピングを行うと、法律に抵触する可能性もあるので注意してください。
スクレイピング先への負担をかけすぎない
Webサイトへの多少のアクセスであれば問題ありませんが、過度にアクセスすると訪問先のサーバーに負担がかかることもあります。場合によっては、システム障害に発展することもあるので注意してください。例えば、1秒間に複数回のアクセスを行った場合、サーバーに大きな負担がかかりサイトを一時的に閲覧できないという事態になることもあります。
セキュリティリスクを鑑みる
スクレイピングツールを利用する際、サーバー側からIDやパスワードの入力を求められることもあります。入力したIDやパスワードはデータ取得の認証を得る際の一般的利用を目的としています。しかし、入力したIDやパスワードが悪用されたり、情報漏洩したりする可能性があることも忘れてはいけません。個人情報を入力する際は運営元についてきちんと調べ、信頼できるかどうか見極める必要があります。
スクレイピングしたデータは加工せずに活用しない
スクレイピングで取得したデータをサービス開発において活用する際は、複製データをそのままの状態で利用しないようにしましょう。表現を変えるなど、複製物ではない状態になるよう加工するようにしてください。
スクレイピングツールのおすすめ9選
スクレイピングツールと一口で言っても各ツールによって特徴が異なるため、ツールを選択する際は各ツールの特徴について確認するようにしてください。ここでは、おすすめのスクレイピングツールを9つ紹介します。
Octoparse
Octoparseはコーディングをせずスクレイピングを行えるため、データの取得を手軽に行えます。また、毎日や毎週といったようにスケジュールを設定しておくことで、スクレイピングの大部分を自動化できます。
ポイント
- コーディングの必要がなく、クリックでデータを抽出できる
- データをCSV、Excelなどの形式で出力でき、APIへの接続やデータベースへの保存も可能
- フリープランがあるため自社との相性を契約前に確認できる
80legs
ポイント
- カスタマイズされた要件に基づいて構成できる
- クローリングした分の料金を支払えばよいため無駄がない
- フリープランがあるため自社との相性を契約前に確認できる
WebSundew
WebSundewはJavaScripやAjaxtなどからデータを収集できます。構造化されたデータの抽出は直感的操作で行えるため、機械操作が苦手な方も安心して利用できるはずです。また、14日間のトライアル期間があるため、使用感を確認した上で契約できます。
ポイント
- 運用規模や利用用途に合わせて4つのプランから選択できる
- データをクリーンアップ、フォーマット、変換、整理などを行い、分析できる
- WindowsやMac、LinuxなどさまざまなOS環境に対応している
Scraper
ScraperはGoogleの拡張機能の一つで、GoogleChromeを使用している方であればインストールするだけで利用できます。Scrapeを活用することで、Web上での情報の自動抽出から不必要な情報の削除まで自動で行えます。
ポイント
- GoogleChromeを利用している人はすぐに利用できる
- 必要な情報を指定することで、必要な情報のみ取得できる
- 有料プランに切り替えれば利用できる機能が増える
Webhose.io
Webhose.ioを活用することで、世界各国のオンラインソースをクリーンな形式でクロールし、データの取得を行えます。さまざまなソースをカバーできる複数のフィルターが搭載されているため、取得したデータから各言語のキーワードを抽出することも可能です。アーカイブから履歴データを確認できるため、過去に取得したデータの見直しも手軽に行えます。
ポイント
- スクレイピングしたデータをExcelやJSON、RSSなどの形式で保存可能
- クロールされた構造化データにインデックスを付けて検索できる
- 無料で利用できるプランがある
ParseHub
ParseHubはWebドキュメントの読み取り後、分析を行い、関連データに変換する機械学習テクノロジーを用いています。URL指定、およびスクレイピングを希望する範囲の選択でスクレイピングを行えるため、直感操作できるツールを利用したい方にもおすすめです。
ポイント
- 40分間で200ページまでの対応であれば無料版を利用できる
- 英語表記であるがチュートリアルやマニュアルが充実している
- AJAXやCookie、JavaScriptなどを使用するWebサイトからデータ収集できる
Bright Data
Bright Dataはプロからも高い支持を得ているスクレイピングツールで、1万人以上のデータ専門家が利用しています。IPアドレスを自分で選択してデータ収集を行える点もBright Dataならではの特徴です。サポート体制の充実度の高さが特徴で、アカウントマネージャーからのアドバイスをもらうこともできます。
ポイント
- 国内だけでなく、世界中で安定的人気を誇るサービス
- サポート体制が充実しており利用しやすい
- 月額$350から利用できる
Import.io
Import.ioはWebページのURLを入力するだけで、スクレイピングが完了します。また、複数のURLクエリを処理できるクロールサービスが組み込まれており、エラー対応を的確に行えるよう再試行システムを備えています。利用料金については、要問合せです。
ポイント
- スクレイピングを直感操作で行える
- 情報処理の正確性が担保されている
- データ抽出時のWebサイトへの負担を軽減するための監視機能が搭載されている
Mozenda
Mozendaはオラクル社をはじめとする世界的にも有名な企業からも支持されているスクレイピングツールです。Mozendaの性能は高く、このツール一つでデータアナリストの役割まで担うと言われています。スクレイピングはポイント&クリック機能によって簡単に行えるため、機械操作が苦手な方も安心です。料金形態については、要問合せとなります。
ポイント
- 世界的な有名企業も多く利用しており信頼性が高い
- TSVやCSV、XMLなどさまざまな形式のエクスポートに対応している
- データ可視化のサービスが搭載されているため、データ収集から分析まで対応可能
目的・規模に合ったスクレイピングツールを選ぼう
スクレイピングツールを活用することで、膨大なデータを収集し、処理を行う手間を大幅に削減できます。また、インターネット上のデータを取得することで、自社にストックのない新しい情報を利用できるため、新たなビジネスチャンスが拓けることも期待できるでしょう。本記事で紹介したように、スクレイピングツールにはさまざまなツールがあります。自社の目的や規模に合ったスクレイピングツールを選択することで、導入の効果を最大限得られます。ただし、スクレイピングツールにはメリットだけではなく、デメリット・注意点もあるため利用する際は注意が必要です。マナーや規約を守らずに利用した場合、法に抵触することもあるため必ず確認しましょう。また、認証が求められるデータの取得の際にはIDとパスワードをサーバーに登録する必要があるため、セキュリティリスクがあることも覚えておいてください。