組織開発とは?人材開発との違い・7つの手法や役立つ資格を紹介

企業間での競争が激化している昨今、組織開発を行い、自社のボトムアップを行うことが重要視されています。とはいえ、担当者や管理者のなかには「組織開発といわれても、具体的に何をすればよいのかわからない」と悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。本記事では、組織開発についてわかりやすく解説したうえで、組織開発の進め方や組織開発に役立つフレームワークなどについて解説します。あわせて、組織開発に役立つ本やツールも紹介します。

目次
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組織開発(OD=Organization Development)とは

組織開発(Organization Development:OD)とは、組織改革におけるアプローチ方法の一つです。個人の能力を高めることよりも、組織内の信頼関係を強化することを目的としています。ビジネスにおける変化が激しく、働き方が多様化している昨今、組織開発に注目する企業は増えています。

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組織開発の歴史

組織開発は1950年代のアメリカでディジタル・イクイップメント社をきっかけに、発展しました。ディジタル・イクイップメント社は経営が上手くいかないタイミングで、エドガー・H・シャイン氏に助言を求めました。シャイン氏による心理学や行動科学、キャリアなどの知識に基づく助言を経営に取り入れた結果、飛躍的成長を遂げることに成功したのです。ディジタル・イクイップメント社は、創業者であるケネス・ハリー・オルセン氏の意思決定に従って動いていた組織でした。しかし、組織開発のノウハウ導入とともに、現場からの声を重視する組織に変わったのです。この事例をきっかけに、現状の課題を解決し、利益を上げたいと考える企業の多くが組織開発に注目するようになりました。

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企業が組織開発に取り組む目的

組織開発は人との関わりを活性化させることで、組織をよりよい方向に変化させることを目的としています。下記のような目的を持って組織開発に取り組む企業が多いと見受けられます。

  • 社員の主体性の向上
  • 組織におけるパフォーマンスの向上
  • 激動する変化への対応

ビジネスにおいて変化が激しい昨今、企業が存続していくためには、変化に対応する力や各従業員に能力を最大限に発揮してもらうことが求められています。組織に所属しているメンバーで組織全体の力を向上させていくことは、企業が存続していくために不可欠なことなのです。

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組織開発と人材開発との違い

組織開発としばしば混同されるものとして人材開発があります。以下、組織開発と人材開発との違いを見ていきましょう。

そもそも人材開発とは

人材開発とは各社員が持つ能力やスキルを高め、成長を促す取り組みのことです。人材開発には研修や勉強会、OJT(現場研修)、e-ラーニングなどが含まれます。人材開発には手軽に行えるものも多く、効果を短期間のうちに実感できるものも少なくありません。

組織開発と人材開発の目的(対象)の違い

組織開発では、課題に対する原因を組織全体にあると考えます。たとえば、ある課題に対し、個人に原因があるというよりも、人間関係や従業員同士の影響関係が原因となっているという見方をします。一方、人材開発では、課題の原因について従業員個人にあるという見方が基本です。この時、個人というのは、若手や新入社員、ベテランなど職位は関係しません。

組織開発と人材開発の方法の違い

組織開発では人間関係や組織における相互作用を重視するため、従業員間の関係性をよりよくするようなアプローチを行います。たとえば、1on1ミーティングやフューチャーサーチ、コーチングなどの手法があります。一方、人材開発は従業員個人に課題の原因があるとした、個人に対するアプローチが基本です。OJTや自己啓発など個人のスキルや考え方を向上させる方法で実施されます。

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組織開発の進め方5ステップ

組織開発は下記の5ステップで行います。

  1. 目的と現状を把握する
  2. 課題を明確にする
  3. アクションプランを考える
  4. 小さく試し、効果を検証する
  5. 成功事例を共有し、取り組みを継続する

それぞれ詳しく解説します。

STEP1.目的と現状を把握する

組織開発を実施するにあたって、目的と現状を明確にしましょう。目的は「前月よりも売上を10%アップする」といったように具体的、かつ目的の達成を客観的に判断できるものにしてください。「社員間の関係性をよくする」といった目的とした場合、目的を達成したかどうか客観的に判断する術がありません。また、目的を達成するためには現状分析をしっかりと行い、現状を正しく把握しておくことが前提です。

STEP2.課題を明確にする

組織が抱える課題を明確にする方法として、従業員への聞き取りやアンケートが有効です。従業員が抱えている課題や問題意識を基にして、自社の課題を整理していきます。課題を明確にできなければ、組織開発の目的が分からなくなるだけでなく、効果を実感することもないでしょう。

STEP3.アクションプランを考える

組織開発で解決すべき課題として、社内からさまざまな問題が提起されるケースは多いです。課題に複雑な要因が含まれていたり、複数の問題が絡み合ったりしていることも珍しくありません。解決すべき課題の優先順位を付けたら、課題ごとに解決策を考えます。アクションプランを立てる際は長期的計画になりすぎないようにしましょう。計画を実際に実行してみると、変更が必要になることも多いです。

STEP4.小さく試し、効果を検証する

課題に対するアクションを小さく試し、効果を検証してみます。たとえば、1on1ミーティングを自社に導入する場合、全部署で行うのではなく、一部の部署で実験的に行ってみることをおすすめします。アクションの試験的実施を大規模に行うと、多くの費用や時間を要することになるので注意してください。また、失敗した場合には規模が大きいほど、損失が大きくなると懸念されます。

STEP5.成功事例を共有し、取り組みを継続する

成功事例が出たら、成功の理由や背景、工夫点などを分析します。成功事例は自社における組織開発のノウハウとして、将来的にも活かせます。成功事例は社内全体で共有することが大切です。共有方法として、成功事例をまとめたマニュアルの作成や、成功事例の方法を社内全体で展開するためのシステム作りが挙げられます。全社で成功事例を踏まえて取り組みを継続することによって、さらに大きな効果を出せるはずです。

組織開発に役立つ7つのフレームワーク

組織開発に役立つ7つのフレームワークは下記の通りです。

  1. 目的設定に役立つ「7S」
  2. 課題や現状の把握に「ミッション・ビジョン・バリュー」
  3. ステークホルダーも交えて行う「フューチャーサーチ」
  4. 目標や進捗の管理に「OKR」
  5. チーム単位で取り組める「タックマンモデル」
  6. 従業員エンゲージメントを高める「AI」
  7. 普段のマネジメントに「コーチング」

それぞれ詳しく解説します。

目的設定に役立つ「7S」

7Sはマッキンゼー・アンド・カンパニー社が提唱したフレームワークで、7つの経営資源と相互性を示したものです。7Sはハード面の3S(戦略(Strategy)、組織構造(Structure)、システム(System))とソフト面の4S(スキル(Skill)、人材(Staff)、スタイル(Style)、Shared value (共通の価値観))に区分されます。7Sに自社の状況をあてはめて現状把握と分析を行うことで課題を明確にできます。

課題や現状の把握に「ミッション・ビジョン・バリュー」

ミッション・ビジョン・バリューとは企業の経営方針を示すものです。ミッション・ビジョン・バリューは下記の3つで構成されています。

  • ミッション(存在意義) 企業が社会において果たすべき使命と存在意義
  • ビジョン(目指す姿) 目指すべき理想の姿の具体化
  • バリュー(価値観・行動指針) ミッション・ビジョンに基づく社員の行動基準の設定

ミッション・ビジョン・バリューを社内で共有することで、従業員それぞれが自身の仕事に責任を持って取り組むようになるといわれています。また、バリュー評価を設定しておくことで、各従業員が自社のバリューに沿った活動を行っているか評価しやすくなります。

ステークホルダーも交えて行う「フューチャーサーチ」

フューチャーサーチを提唱したのは、マーヴィン・ワイスボード氏とサンドラ・ジャノフ氏です。大規模な議論において解決が難しいと判断される課題のミーティング手法として広く知られています。フューチャーサーチは社員だけでなく、利害が異なる関係者を集めて行います。過去と現在の状況について共有し、それぞれが望む未来を共有します。その後で、互いに協調しあう姿勢を重んじながら、解決策やアクションプランを作成します。自社の従業員に限らず、ステークホルダー(関係各位)を交えて取り組むことで、課題解決はもちろん、外部環境への適応を果たせるのです。

目標や進捗の管理に「OKR」

OKRは「Objectives and Key Resultsの略語で、日本語では目標管理手法といいます。組織全体や部署、個人にO(objectives 目標)とKR(key results 成果指標)を設定して、各層ごとに進捗管理や評価を行います。OKRを実施する際のポイントは、実現可能、かつ具体的な目標であることはもちろん、期限を明確にしておく必要があります。OKRを活用することにより、異なる立場にある従業員が組織の一員として、同じ方向を向いて目標達成を目指せます。

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チーム単位で取り組める「タックマンモデル」

タックマンモデルは心理学者のブルース・W・タックマン氏によって提唱されました。組織の成長段階を示したモデルで、形成期、混乱期、統一期、機能期、散会期の5つの段階から目的の達成までを表しています。タックマンモデルの活用により、組織の現時点での立ち位置を把握でき、経営層やマネジメント層で適切な対策を打ち出せます。また、タックマンモデルは組織やチーム内の衝突を無理に避けることはしません。組織内の衝突は乗り越えるべき課題という共通認識に基づいています。

従業員エンゲージメントを高める「AI」

AIとは「Appreciative Inquiry」の略語です。「価値を見出す(Appreciative)」と「探求・質問(Inquiry)」という二つの言葉で成り立っています。AIは肯定的な質問を通じて組織や個人の価値を見出して、将来的な可能性を広げるフレームワークです。また、組織の弱点よりも強みに目を向けるところに特徴があります。AIを上手く活用することで組織の強みや潜在能力の発見、目標の再確認を期待できます。

普段のマネジメントに「コーチング」

コーチングとは対話によって対象者の能力や意欲を引き出すマネジメント方法です。コーチングは上司が部下に対して行うことが一般的ですが、上下関係を意識せずに行うことが大切です。また、部下に業務を無理強いするのではなく、部下の主体性を向上できるかがポイントになります。従来、コーチングは人材開発に分類される手法でした。最近では、各従業員の生産性向上は組織全体の生産性アップにも大きく関係することから、組織開発の手法の一つとしてもみなされています。

おすすめのキャリアカウンセリングサービス

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組織開発に成功した企業の事例

ヤフー株式会社はティーチングとコーチングを使い分けた1on1ミーティングを実施しています。週に一度30分の時間を設け、上司は部下の話に耳を傾けます。また、このときに、経験学習というスキームも実施しているようです。上司から部下へのコーチングも重視されており、上司は部下が自ら考え、主体的に動ける力を培えるよう助言します。これらの取り組みにより、各社員が業務において最大限のパフォーマンスを発揮できるようになったといいます。

組織開発のことがよくわかる本

組織開発について詳しく知りたい方には下記の3冊がおすすめです。

  • マンガでやさしくわかる組織開発(中村 和彦)
  • 対話型組織開発――その理論的系譜と実践(ジャルヴァース・R・ブッシュ)
  • 組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす(中原 淳、中村 和彦)

それぞれの内容を簡単に見ていきましょう。

マンガでやさしくわかる組織開発(中村 和彦)

中村和彦の『マンガでやさしくわかる組織開発』は組織開発について誰にとってもわかりやすく説明された一冊です。マンガ形式の比較的コンパクトな一冊ではありますが、組織開発に関わる方が抑えておくべきポイントは網羅されています。おひとりさま業務(個業)の増加や職場のダイバーシティの高まり、従業員同士のコミュニケーションの減少といった企業が抱える問題を踏まえたうえで、組織開発による問題の解決方法が説明されています。

対話型組織開発――その理論的系譜と実践(ジャルヴァース・R・ブッシュ)

ジャルヴァース・R・ブッシュの『対話型組織開発――その理論的系譜と実践』は各界から注目を集めている対話型組織開発についての初の専門書です。この本では、現代の組織開発でなぜ対話が求められているのか詳細に解説されています。また、組織において対話をどのように実践するのかについても解説されているため、自社の組織開発に活かすこともできます。

組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす(中原 淳、中村 和彦)

中原淳と中村和彦による『組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす』は組織開発の本質と手法について思想的源流にまで遡り解説された本です。組織開発の実践方法を示すだけではなく、組織開発とは何か、組織開発の理論とはといった根本的部分についても詳細にふれられています。この本は400ページを超えるボリューミーな一冊です。表面的な組織開発を越えて、本質を掴んだ組織開発を実践したい方にとっても満足できるはずです。

組織開発に役立つ資格

組織開発に役立つ資格は下記の3つです。

  • 組織キャリア開発士
  • ビジネスキャリア検定(人事・開発・労務管理)
  • コーチング資格

それぞれ詳しく見ていきましょう。

組織キャリア開発士

組織キャリア開発士は一般社団法人 地域連携プラットホームが発行している資格です。この資格を取得するためには下記の3つの講習を受けます。

  • 理論(グループアプローチの実践手法とODの歴史)3時間×4単位
  • 自立(自律)・独立へ向けてのノウハウの習得 3時間×2単位
  • 個々人の具体的な実践(実技試験に相当)3時間×4単位

組織キャリア開発士は所属している組織の課題や問題点を把握し、改善に結びつく手法を実践できる力を培うことを目指します。また、組織に属する人たちが幸せに働けるように組織にさまざまな提案を行い、改革を推進できる力を育むことも求められています。

ビジネスキャリア検定(人事・開発・労務管理)

ビジネスキャリア検定は中央職業能力開発協会が主催する資格試験で、BASIC級から1級までの4段階あります。出題範囲は人事、人材開発、労務管理、経理、財務管理、路地ティクス、営業・マーケティング、企業法務・総務、生産管理など多岐にわたります。BASIC級は学生や新入社員が対象とされているようです。一方、1級は実務経験10年以上の部長クラスの方が対象です。ただし、各等級に受験資格が設けられているわけではないので、受験者が自身の知識や経験を考慮して受験する等級を決めます。

コーチング資格

コーチング資格は一般社団法人日本コーチング連盟が主催する資格試験で、I種とII種で区分されています。I種では論文試験と実技審査が実施され、II種では学科試験と実技試験が実施されます。コーチング資格ではコーチとしての知識のみならず、実践的な技能も評価において重視されます。また、この資格はコーチング学習者、及び活動者の専門知識と技能水準の評価を通じて、コーチとしての技能を向上させることを目標とします。

組織開発に役立つおすすめツール3選

組織開発に役立つおすすめツールは下記の3つです。

  • 人材のミスマッチを防ぐ「ミツカリ」
  • 管理システムの鉄板「カオナビ」
  • 1on1の効果を最大化「TeamUp」

それぞれ詳しく解説します。

人材のミスマッチを防ぐ「ミツカリ」

ミツカリ適性検査で採用配属のミスマッチを回避させるためのツールです。導入企業は大手企業を含めて、4,000社を超えます。ミツカリを導入することで、人材の早期離職を回避できる他、面接プロセスを効率化できます。

ポイント

  • 応募者について会社や部署、上司との相性を診断できる
  • 面接官ごとの採用基準のバラツキを統一できる
  • 従業員の言動特性や癖を可視化できる

人材管理システムの鉄板「カオナビ」

カオナビは社員の個性や才能の発掘を行い、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステムです。利用企業数は大手企業を含め、2,500社を超えます。カオナビはテレワークや生産性向上、人材不足など人事におけるさまざまな課題に対応しています。

ポイント

  • 組織に眠っている⼈材情報をオープンにし、経営や現場と共有できる
  • 人材データベースを自由にカスタマイズできる
  • ユーザー画面はわかりやすく、直感操作できる

1on1の効果を最大化「TeamUp」

TeamUpは対話とフィードバックを文化にすることを目的にした、クラウド1on1ツールです。各社員の状況をリアルタイムで認識することを可能にし、上司や人事、経営者を含めた社内全体でサポートできる体制の構築を目指します。また、TeamUpには15日間のトライアル期間があります。

ポイント

  • 部下が考えていることを上司に共有できる
  • サポート体制が充実しているため、機械操作に不安がある企業も利用しやすい
  • 360度フィードバック機能を使うことでより客観的な成長を目指せる

フレームワークやツールを導入して組織開発を進めよう

組織開発では組織が抱える課題の原因は個人というよりも、従業員同士の人間関係や影響関係のなかにあるという見方をします。組織開発を上手く進めていくことで、各個人が活躍できる環境が整い、組織全体のボトムアップも期待できます。組織開発を行う場合、フレームワークを活用したり、成功した企業の事例を参考にしたりすることも重要です。その他にも、ツールを活用すれば、組織開発についてのノウハウがない企業でも問題を短期間で解決できるでしょう。本記事で解説したように、組織開発にはさまざまな方法があります。自社にとってベストな方法で組織開発に取り組むことが成功の秘訣です。

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スマカンは、人材情報の見える化、人材配置、人材育成、目標管理、人事評価などの人材戦略に役立つクラウド人事システムです。従業員の評価やスキル、保有資格や執務能力など、あらゆる人材情報を一元化し、人事業務の効率化や人材マネジメント、戦略人事を支援します。

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