文字起こしツールは、講演や会議などの発話をそのままテキスト化したり、議事録作成やタスク管理などを行えるツールです。AI技術の向上により認識率が飛躍的に向上し、自動翻訳などもできるとあって、業務負担の軽減や効率化などにつながっています。本記事では、文字起こしツールの主な機能やメリット、選ぶ際の注意点、おすすめツールなどを解説します。
文字起こしを依頼した場合の費用相場
文字起こしを専門の業者に依頼する場合は、録音時間か文字に起こした後の文字数で費用が決定します。録音時間で見積る場合は、通常は1分あたり100円~300円ほどが相場のようです。60分の音声データであれば、6,000円~18,000円となります。また、文字数で換算する場合は、1文字1円が目安となります。60分間でおおよそ14,000文字になると言われているので、14,000円となります。このほか、専門性の高い内容や納期が急な場合には、別途料金を請求されることもあります。また、意味のない語句や相づち、言い間違い等を省略する「ケバ取り」や、用途にあわせて、文章を「です・ます調」などに編集する「整文」などの仕上げ方法によっても費用が変わります。
文字起こしツールに含まれている主な機能
文字起こしツールには、アプリやWebサービスなどで提供されており、おおむね以下の機能が搭載されています。
AIの音声認識による自動文字起こし
会議や商談などの会話を、AIが解析してテキストに変換します。最近はAIの技術向上により精度が格段に高まり、ほぼ手を加えなくてもそのまま利用できることが多くなっています。ツールによって、対面での会議とWeb会議の両方に対応できるものや、録音済みの音声データを後から読み込みができるものなどがあるので、用途に合わせて選ぶようにしましょう。
翻訳機能による多言語対応
多くの文字起こしツールが、複数の言語に対応しています。文字起こしした内容を事後に翻訳するものや、日本語の発話をその場で自動翻訳して、テキスト表示するものもあります。こうした機能は、リアルタイム翻訳、多言語コミュニケーションツールとしても利用できます。
議事録作成・編集機能
ツールによっては文字起こしだけではなく、自動的に議事録を作成、編集できるものもあります。AIが、誰が発言したかを認識して発言者別にまとめるものや、見出し付けやマーカーを引くなどの編集機能が充実しているツールもあります。録音した音声に合わせて、ツールで作成した議事録をチェックすることで、誤認識や資料との食い違いを効率的に確認でき、議事録の完成度を高められるので便利です。
タスク管理機能
文字起こしツールの中には、発話内容をAIが自動認識して、タスク管理ができるものもあります。会議の中で重要となる事項を抽出して、進捗や締切を管理するなど、タスクの実行を担保してくれます。必要ならば、このような多機能なツールを選ぶと良いでしょう。
文字起こしツールを導入するメリット
文字起こしツールを導入することで、以下のようなメリットを得られます。
議事録作成の負担軽減
文字起こしツールを利用すると、リアルタイムの会話や録音データを自動でテキスト化するので、議事録作成の業務負担が大幅に軽減されます。また、誰が・いつ・何を言ったかといった発言者ごとの発話を時系列でまとめることもできるので、聞き逃しや入力ミスなどのヒューマンエラーを減らせます。これらにより、担当者は本来の業務に専念でき、組織全体の生産性向上も実現できるでしょう。
タスクの実行力を強化できる
文字起こしツールの中には、AIが会話内容から、「いつまでに何をする」などのタスクや、事前に設定したキーワードを抽出できるものもあります。AIが自動認識してタスクのラベル付けを行い、誰が担当者なのか、締切はいつまでかなどを明確にできます。締切が近づいたときのリマインド機能付きのツールもあり、タスクの実行力を強化できることになるでしょう。
多言語対応ができる
文字起こしツールの多くが複数の言語に対応しており、中には100ヶ国以上の翻訳ができるツールもあります。リアルタイムで自動翻訳をして、字幕表示する機能を搭載したツールもあるので、議事録の翻訳作業が不要になり、スムーズな会議進行が可能になります。
会議・商談内容を可視化できる
文字起こしツールの中には、会議中に良く使われるワードやその出現率、出現頻度の変化、部署ごとの出現率の違いなどを分析できるツールもあります。これらを会議だけではなく、商談で活用すれば、成約につながりやすいワードや、会話のテンポなどを把握できます。最近は、発言者の音声からポジティブ・ネガティブなどの感情を推測し、場の雰囲気を数値化できるものも出てきました。文字起こしツールの有効活用で、営業活動の評価や今後の対策づくりに役立てることが可能となるのです。
情報共有が簡単になる
文字起こしツールの利用で、社内の情報共有も簡単に、かつ迅速に行えるようになります。検索もしやすいので、業務時間を短縮し、効率化できることでしょう。
導入する文字起こしツールを選ぶ5つのポイント
続いて、文字起こしツールを選ぶ際に注意したいポイントを確認しておきましょう。
ポイント1.話者が複数人の場合でも対応しているか
AIによる自動音声認識が搭載されている場合、話者が複数人に対応していることが重要です。会議などにおける音声で発話者を区別し、誰の発言かまで明らかにできる機能により、議事録の精度が上がります。
ポイント2.セキュリティ対策がされているか
クラウド型の文字起こしツールの場合、個人情報を含むデータをオンラインサーバーに預けることになります。そのため、セキュリティ対策がしっかりとしているツールを選ぶことが重要です。
ポイント3.専門用語も認識しているか
文字起こしツールは、AIの音声認識の精度に差があるので、できるだけ精度の高いツールを選ぶようにしましょう。専門用語が多い業界・業種に対応したツールもあるので、発話中にそれらが頻出する可能性が高いのであれば、こうした正しく認識できるツールを選ぶようにしましょう。
ポイント4.Web会議ツールとの連携が可能か
リモートワークが常態化した現在では、ZoomなどのWeb会議ツールにも対応した機能が必須となります。Zoom中に会話した内容を、リアルタイムで字幕表示できるなど、必要な機能が搭載されたツールを選ぶようにしましょう。
ポイント5.ファイルの共有や議事録作成などの機能はあるか
文字起こしツールに共有機能や議事録作成機能があると、業務を効率化するだけでなく、その後の営業やマーケティング活動に有効活用できます。事後の様々な用途に使いたい場合は、見出し機能や複数人で編集できるなど、豊富な編集機能が備わっているツールを選ぶと良いでしょう。
おすすめの文字起こしツール・アプリ6選
ここからは、おすすめの文字起こしツールやアプリを紹介します。
Otter
「Otter」は、「英語の会話がそのまま文字になる」のキャッチフレーズでサービスを提供している、AIを活用したツールです。英語の自動翻訳の精度には定評があり、国際会議でも多用されています。2022年4月現在英語のみの対応ですが、日本語を含む多国語対応も間近のようです。
ポイント
- 毎月600分まで無料で利用できる
- Premiumプラン:月額9.99ドルまたは年額99.99ドル~
- Zoomで使用できる
AI GIJIROKU
「AI GIJIROKU」は、使うほどに発話に沿って最適化されていく、AI搭載の文字起こし・議事録作成ツールです。音声認識精度99.8%を誇り、金融や法律、医療など、業種別音声認識機能を搭載しているので、複雑な専門用語の再現にも高い精度を発揮します。
ポイント
- 無料プランあり。有料プランは1,500円/月~
- リアルタイム翻訳30か国語対応
- Web会議ツール・ビデオチャットと連携可能
株式会社オルツ
AI GIJIROKUは、AIが会議の発言をリアルタイムに文字起こしするサービスです。クラウドベースであるため、ノートPC1台あれば、ミーティング参加者の会話を自動でテキストに変換します。
COTOHA Meeting Assist
NTTコミュニケーションズが提供する「COTOHA Meeting Assist」は、AI音声認識機能のほか、自動翻訳機能、タスク管理機能など、豊富な機能が搭載されているのが最大の特徴です。会議の効率化や、タスクの現場浸透などが徹底できるツールとして、人気となっています。
ポイント
- 初期費用無料、月額55,000円(税込)~
- ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2019-2021年3年連続受賞
- 専有のクラウドサーバーで管理されるのでセキュリティ面も安心
NTTコミュニケーションズ
COTOHA Meeting Assistは、会議の発言をリアルタイムにテキスト化し、議事録作成の効率化を実現するサービスです。
スマート書記
「スマート書記」は、AIを活用した高認識精度の文字起こし機能を搭載している議事録作成ツールです。専用エディターの活用で、会議中に見出しやTODOリスト、決定事項などを設定することもできます。
ポイント
- 14日間無料プランあり。料金は要相談
- 累計1,800社以上の企業・自治体の利用実績
- 100ヶ国の自動翻訳に対応
Texter
「Texter」は、iOS対応の文字起こしアプリです。音声だけではなく、画像や動画の音声からテキスト変換ができ、複数ページのPDFからの文字起こしにも対応しています。リアルタイム翻訳のほか、データをSNSや他のアプリを通じて共有することも可能です。
ポイント
- 無料プランあり。有料プランは「Premium M」1,000円/月~
- 画像・動画からの文字起こしが可能
- AppleWatchで録音再生、iPhone、 iPadアプリとの音声ノートの共有
Texterは、あなたの声を最新のAI音声認識でテキストに変換するサービスです。画像、音声、動画などのメディアファイルも文字起こしをして、管理することができます。
Notta
「Notta」は、言語正確識別率98%を誇る議事録作成ツールで、スマホやPCなど複数の端末で同期ができ、同時編集や閲覧が可能です。リアルタイムのテキスト化だけではなく、録音済みの音声ファイルをインポートするだけで、5時間分の分量を5分程度でスピーディにテキスト化します。
ポイント
- 無料プランあり。有料プランは、「プレミアム」$8.25 (約883円)/月~
- 104言語に対応可能
- Mac、Windows、 iPhone、Androidなど多端末で同期可能
Notta株式会社
Nottaは、ビジネスパーソンにとって非常に便利な文字起こしサービスです。会議やインタビューなどの音声をリアルタイムでテキスト化することが可能で、その結果をすぐに共有したり、後で確認したりすることができます。
文字起こしツールを導入して効率化を叶えよう
文字起こしツールは、会議や講演などで話された内容をテキスト化するツールです。最近はAIを搭載したツールが多くなり、その技術向上に伴い認識率が飛躍的に向上しています。業界特有の専門用語をほぼ間違いなく再現できるものもあれば、100ヶ国の外国語を自動翻訳できるツールもあります。また、議事録作成やタスク管理もできる多機能ツールもあり、文字起こしの労力軽減だけではなく、営業やマーケティング活動にも役立つでしょう。議事録作成やタスク管理で業務の効率化を考えているなら、文字起こしツールの導入を検討してみましょう。