近年、従業員に副業を許可する企業も増えてきました。副業に関する情報も数多く発信されていますが、専門的なスキルや準備資金がないといった理由で、自分には副業は難しいかもと考えている人も多いかもしれません。何か自分にできる副業はないかと考える人に向けて、今回は「せどり」という方法を紹介します。「せどり」は、専門的な知識やスキルはそれほど必要ではなく、初期費用もあまり必要ではありません。本記事ではせどりと転売の違い、注意点、成功するためのポイントといった情報の他、おすすめツールも紹介します。
せどりとは
まず「せどり」の定義について理解しておきましょう。
せどりの意味
「せどり」とは、仕入れ額よりも高い金額で商品を販売し、利益を得る商行為を指します。せどりは漢字で「競取り、糶取り」と書きます。もともとは古本業界の用語で「掘り出し物を第三者に販売することで利益を稼ぐ」行為のことでした。せどりを違法行為と思っている方もいるかもしれませんがせどり自体は違法ではありません。
せどりと転売の違い
せどりと転売は仕入れ額よりも高い金額で商品を販売するという点では同じ行為です。転売という言葉に非常にネガティブなイメージを持つ方も多いと思いますが、実はせどりと同様に違法行為ではありません。ではなぜ違法だと思われることが多いのかというと、近年品薄商品や限定商品などを買い占めて高額に転売する「転売屋」「転売ヤー」と呼ばれるような悪質な人たちが増えたからです。そうしたイメージによる違いなので、厳密に両者を分ける定義があるわけではありません。解釈は人によって異なりますが一般的に、品薄商品・限定商品・人気商品などを買い占めて定価よりも高額な金額で販売することを「転売」、マナーやモラルを守った上で安く仕入れた商品に利益をプラスアルファして販売することを「せどり」といったイメージで捉えられることが多いです。
副業として人気のせどり
始めるにあたって注意点が多いせどりですが、事業を始める初期コストが少ないので会社員の副業として人気の高い事業の一つです。その理由は、法律やマナーを守って行う分には、大きな損失を出すようなリスクも少なく、短時間でも利益を出しやすいからです。
せどりに必要なもの
せどりを始めるにあたって必要になる機器やサービスは以下になります。
メモ
- パソコン
- スマートフォン
- せどり分析ツール
- クレジットカード(デビットカードでも可)
- 仕入れ資金
- Amazon、メルカリ、楽天などのアカウント(出品用も含む)
この他に中古品を扱う場合は後述の古物商免許も必要になってきますが、大半は日常で使っている機器やサービスで事足りるので、準備金として必要なのは非常に小額です。
せどりで法に触れてしまうケースに注意
前述のようにせどりは違法行為ではありませんが、以下に挙げるように法に触れてしまうケースもあるので事前に確認しておきましょう。
1.偽物や海賊版など違法な商品の販売
当然のことですが商品自体が違法となるものを販売してはいけません。例えば、偽ブランド品を販売すると商標権の侵害行為にあたりますし、コピーコンテンツや海賊版を販売すれば著作権の侵害行為になります。特に、偽ブランド品は、素人だと本物と見分けがつかないものも多数あります。偽物だと知らずに販売したのだとしても、罪に問われてしまうので注意が必要です。以下に主な違法商品を挙げます。
- 偽ブランド品
- 著作権を侵害するコピーコンテンツや海賊版
- 盗撮した音声や動画
- 違法薬物
- その他日本の法律に違反するもの
上記に挙げたような商品の販売が違法に問われるのは、せどりに限ったことではありませんね。アダルト向けの商品など、ここに挙げられていない商品でも公序良俗に反すると少しでも感じた場合は、取り扱いを避けるように心がけましょう。
2.古物商許可が必要な中古品の販売
営利目的で中古品を販売する場合は古物商許可が必要になります。古物商許可には管轄の警察署に申請が必要です。無許可で販売を行うと古物商法違反になるので注意しましょう。ただし、メルカリやヤフオクで不用品を出品する程度であれば古物商許可は必要ではありません。あくまでも「継続的な事業として利益を出す場合」に対して適用される法律です。申請書類の作成など少々手間がかかりますが、特に申請条件が厳しい訳ではありませんので、副業でせどりを行う場合は古物商許可は取得しておく方が良いでしょう。
3.販売権を持っていない商品の販売
古物商以外にも、タバコや酒など販売権の許可を得なければいけない商品があります。以下に挙げるような商品に関しては、販売権の許可を得る条件が大変厳しいので、副業のせどりで扱うのはハードルの高い商品になります。
- タバコ
- 酒などのアルコール類
- 薬品類
- 危険物/爆発物
上記の商品を無許可で販売した場合にも違法となりますので注意しましょう。
4.チケットを定価以上の価格で転売
2019年にチケット不正転売禁止法が施行されました。定価以下で販売するのは違法ではありませんがチケットの販売には注意が必要です。せどりの範疇からは外れますが、人からもらったチケットや、スケジュールが合わなくて自分で行くことができなくなったチケットを販売することは問題ありません。
5.確定申告漏れ
せどりに限ったことではありませんが、事業行為を行なって一定の収入を得た場合は確定申告を行い納税をしなければいけません。今まで副業経験がなかった会社員の方は、確定申告の経験がない方も多いと思います。そのため、確定申告のやり方がわからなかったり、必要性がないと勘違いして申告漏れにつながるケースがあります。悪意がなくても申告漏れが発覚するとペナルティとして追徴課税を課される可能性があるので注意しましょう。会社員の場合、副業による所得の合計が年間20万円以下であれば申告は不要になりますが、これはあくまでも「所得税」に関する申告の特例措置です。市区町村に支払う住民税に関しては特例措置はありませんので、別途自治体に申告が必要になります。
6.違法ではないがモラルを問われるケースもあり
品薄商品の買い占め、せどりのためだけに限定商品を購入する、著名人が亡くなった時にグッズを買い占める、といった行為は違法ではありませんが、マナーやモラルを問われる行為です。また、コロナ禍が始まって間もなくアルコール消毒液とマスクに転売規制がかかったのも記憶に新しいですが、現時点では違法でなくても災害や国際的な紛争などが起きて品薄になった生活必需品の販売には規制がかかる可能性もある点にも留意しておきましょう。
初心者がせどりを成功させる5つのポイント
注意点が確認できたところで、初心者がせどりを成功させるための5つのポイントを解説します。
1.初心者でも始めやすい新品のせどりから始める
中古品のほうが安く仕入れやすいので、せどりを本格的にやっていくのであれば古物商許可の申請をおすすめします。しかし、申請にはそれなりに手間も時間もかかりますので、初心者が中古品を扱うよりも、新品の商品のせどりからスタートした方が取り組みやすいです。新品でノウハウを掴んでから、中古品販売に挑戦しても遅くはありません。まずは新品のせどりからチャレンジしてみましょう。
2.保管・梱包が簡単な商品を取り扱う
副業でせどりを行う場合は、商品の保管場所や梱包方法についても考慮しておく必要があります。初心者の場合は、保管場所のスペースをあまり必要としない商品や、梱包も簡単に済ませられる商品から取り扱いを始めてみましょう。もし、保管が困難な商品や商品量を扱いたい場合は、 Amazonが提供するFBA(フルフィルメント by Amazon)というサービスを利用することも検討してみましょう。FBAはAmazonが商品の発送、保管、返送、お客様返品、カスタマーサービスなどを代行してくれるサービスです。
3.人気動向や、検索急上昇しているキーワードを観察する
せどりを行う場合も、需要と供給についてはしっかりとリサーチしておかなければいけません。メディア等で紹介され人気が高まっている商品や、検索で急上昇している商品・商品に関するキーワードなどを、観察してみましょう。商品の仕入れも闇雲に行うのではなく、ニーズの高い商品を事前に調査した上で行うと、せどりもうまく行くいくでしょう。
4.セール情報を確認し、仕入れのタイミングを決める
後述するせどりツールなどを利用して、継続的に価格の変動を調べることも重要です。新品の商品でも、セール期間中に購入することで安く仕入れることが可能です。ツールを使えばAmazonをはじめとしたネットストアは、価格の変動を調べるのも比較的簡単です。
5.ツールを活用する
ショッピングサイトの価格情報などをまとめて確認できるせどりに役立つツールが多数提供されています。無料・有料問わず、これらのツールを導入することでせどりに関する情報収集が非常に簡単になります。有料版も十分に元が取れる料金設定のものが多いので、何から始めてよいかわからない人は、ツールを積極的に利用してみましょう。
せどりにおすすめのツール8選
おすすめのせどりツール8選をご紹介します。
DELTA tracer(デルタトレーサー)
Amazonの商品データベースを提供するサービスとして定評のあるツールです。キーワード、JAN、ASINを検索して手軽に商品データを確認することができます。また、KEEPA社と提携を行なっているため、DELTAとKEEPAという異なる2つのデータベースの情報を利用することが可能です。さらに、Amazon以外の他モールをまとめて同時検索することも可能です。Webの無料版の提供は2020年12月末で終了し、月額2,200円の最新版がリリースされています。その他にもGoogle Chromeの機能拡張が提供されており、こちらは無料で利用可能です。
Web版は月額2,200円で全ての機能を利用可能
Google Chrome機能拡張版は無料で一部機能を利用可能
まとめ
- Amazonの商品データベースを提供するツール
- キーワード、JAN、ASINを検索して手軽に商品データを確認可能
- DELTAとKEEPAという異なる2つのデータベースの情報を利用可能
合同会社ナナイチナナ
DELTA tracer(デルタトレーサー)は、Amazon物販従事者向けの仕入れツールです。10億以上の商品情報とKEEPA社との業務提携により得たデータを基に、安定した仕入れを実現するサービスです。楽天、Yahoo!ショッピングなどのサイト上でもデータ確認が可能で、プレミア商品のタイミングをキャッチしたり、売上を最大で3.2倍アップするなどの特徴があります。
プライスター
Amazonの出品・納品や価格の自動変更、在庫や売上の管理、売れた商品の利益計算などを行うことができるツールです。Amazonのマーケットプレイスを利用して、せどりの商品を販売する際に、非常に役立つツールです。有料のツールですが、1ヶ月の無料体験サービスを実施中です。iOS版、Android版もリリースされているので、外出先でも作業が可能です。アプリを使えば、スマホカメラで気になった商品をリサーチしたり、仕入れた商品をその場で出品することも可能です。
日本版:5,280円/月
US版:5,280円/月
1ヶ月間無料体験実施中(2021年5月現在)
マカド
価格設定・出品・販売管理など、Amazon出品者をサポートしてくれるツールです。スピーディーでスムーズな出品を可能とし、価格設定も非常に簡単に行えます。全自動で商品価格を最適化し続ける機能や、売上・販売数や利益額・利益率など、様々な項目のデータを知ることができる高度なデータ集計機能が搭載されています。30日間の無料トライアルが提供されています。Webツールなので利用環境を選ばず、インストールの必要もありません。
4,980円/月
※30日間無料で利用可能
まとめ
- 価格設定・出品・販売管理など、Amazon出品者をサポートするツール
- 全自動で商品価格を最適化し続ける機能や高度なデータ集計機能を搭載
- Webツールなので利用環境を選ばず、インストール不要
MONO SEARCH(モノサーチ)
Webショップの価格比較や在庫検索ができるツールです。楽天やYahooショッピングといったAmazon以外の大手ネットショップの情報にも強いのが特徴です。PRO版は有料のサービスですが、通常版は無料で利用することができます。両方ともGoogle Chromeの機能拡張版が提供されています。
MONO SEARCH:無料
MONO SEARCH RRO:4,980円/月(14日間の無料体験版あり)
まとめ
- Webショップの価格比較や在庫検索ができるツール。PRO版はせどり向けに特化。
- 楽天やYahooショッピングなど大手ネットショップの情報にも強い
- Google Chromeの機能拡張版も提供
モノサーチは、楽天・ヤフオク・アマゾン・オムニ7・駿河屋などの大手ネットショップの最安値を比較するサービスです。商品はキーワード、JANコード、バーコード(スマホカメラ)から簡単に検索できます。価格比較を通して、お得なお買い物をサポートします。
Keepa(キーパ)
Amazonで販売されている商品の価格変動を自動で追跡してくれるツールです。無料で利用することができる無料版が提供されているので、せどり初心者に大変おすすめです。有料版は、ランキンググラフやFBA出品者の在庫数チェックといった機能が搭載されています。ブラウザの機能拡張として利用するツールですが、 Firefox、Google Chrome、Opera、Microsoft Edge、Safariといった主要ブラウザ全てに対応しています。また、iOS版やAndroid版も提供されているので、ほとんどの端末環境で利用できるツールです。
無料版:無料
有料版:15ユーロ(約1,800円)/月
まとめ
Keepaは、Amazonの商品の価格履歴を追跡するサービスです。3兆以上のAmazon製品の詳細な価格履歴チャートを提供しており、ブラウザ拡張機能を使用してAmazon上ですべての機能を利用することができます。
Amazon Seller
Amazon出品管理アプリです。商品の売り上げ推移など、売上分析機能、注文確認や出荷管理を行う機能などの他、プロ品質の画像を撮影・編集可能なフォトスタジオ機能、画像検索・テキスト検索・バーコードスキャンなどの商品検索機能などが搭載されています。
まとめ
- 売上分析、注文確認などが可能なAmazon出品管理アプリ
- プロ品質の画像を撮影・編集可能なフォトスタジオ機能を搭載
- 画像検索・テキスト検索・バーコードスキャンなども可能
Amazon Sellerは、Amazon出品者向けのモバイルアプリケーションで、出品者のAmazonでの販売ビジネスを管理し、成長させるためのツールです。このアプリを使用すると、出荷処理がより簡単になり、商品の新規出品や出品中の商品の管理、購入者からの質問への迅速な回答、新しい販売機会の迅速なキャッチが可能になります。
Amacode
商品のバーコードを読み取り、Amazonの価格や売れ行きなどを瞬時に分析できるAmazonセラー専用ツールです。広告なしで全機能を無料で利用できるのでせどり初心者にもおすすめのツールです。実際に手に取った商品について調べることができるので、実店舗で仕入れを行う際に非常に役立つツールです。
まとめ
- 商品のバーコードを読み取り、Amazonの価格や売れ行きなど分析できるツール
- 広告なしで全機能を無料で利用可能
- 実店舗で仕入れを行う際に非常に役立つツール
Amacodeは、Amazonセラー向けの公認分析ツールで、iOS(iPhone・iPad)でのみサポートされています。基本機能は無料で利用でき、有料版では粗利合計ウィジェットや大きな画面でデータを閲覧できるPC版など、無料版よりリッチな機能が提供されています。
価格ドットコム
すでにプライベートで利用している方も多いと思いますが、商品の価格比較サイト「価格ドッドコム」も、せどりで使えるツールの一つです。実店舗での価格を比較可能で、無料で利用できるサービスなので、せどりを試してみたい、なるべくコストはかけたくないといった場合は、このツールから利用してみるのも良いでしょう。
まとめ
- 有名な価格比較サイトも、せどりに使える無料ツールに
- ネットストアだけでなく実店舗の価格情報にも強い
- 取り扱っている商品の種類は多岐にわたる
まとめ:効率的にせどりをするならツールの活用がおすすめ
このようにツールを使えば、せどりは比較的簡単に取り組むことができる事業です。今回は会社員の副業を想定してせどりを行う方法を紹介しましたが、コロナ禍が続き社会的に不安定な状況が続く中で本業の収入が減ってしまった個人事業主や、パート・アルバイトでシフトが減ってなかなか思うように収入を得られない主婦(主夫)や学生さんなども、せどりを一つの収入源として検討してみても良いかもしれません。本記事を参考にして、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
本記事ではおすすめのネットショップ開設サービスを紹介します。新型感染症の影響によりリアル店舗のみで商品販売するハードルが高まっています。同時にネットショップの開設ニーズが今だかつてないほどに高まっています。ファッション、食材、嗜好品、飲料、[…]