社内SNSは、社内のコミュニケーションや情報交換の円滑化を目的として利用されるツールです。テレワークなどが一般化し、働き方が多様化する中で、導入する企業が増えてきました。挨拶文や決まり文句などを使う必要がなく、気軽に情報発信や共有ができるので、業務が効率化するでしょう。また、コミュニケーションが活性化することから、社員のモチベーション向上も期待できます。本記事では、社内SNSの主な機能やメリット・デメリット、企業の導入事例、導入に失敗しないためのポイントのほか、主要な社内SNSツールを紹介します。社内SNSの導入を検討しているなら、ぜひ参考にしてみてください。
そもそも社内SNSとは?
社内SNSとは、企業や組織内で情報の公開や発信、共有などを行うビジネス向けのコミュニケーションツールです。情報交換やナレッジ・ノウハウの共有により、コミュニケーションが活性化するほか、業務の効率化が期待できます。社内の情報共有ツールには、メールやクループウェアなどもありますが、社内SNSはメールよりも気軽に情報発信ができ、グループウェアよりもグループ作成や投稿機能面で自由度が高いのが特徴です。このような利便性から、導入する企業が増えています。また、社内SNSはマルチデバイスに対応しているものが多く、時間や場所を選ばずにアクセスできることから、テレワークなどに適したツールです。働き方改革の取り組みの活発化や、新型コロナウィルスの影響で働き方が多様化する中で、社外でも今までと遜色なく社員同士のやりとりができる、社内SNSの需要が増加しています。
社内SNSを使う目的・メリット
社内SNSを導入することで、以下のようなメリットがうまれます。
社員同士の交流を深められる
社内SNSは、メールよりも気軽に情報発信ができ、グループの参加者全員が発言を閲覧できることから、社員同士のコミュニケーション活性化につながります。いいね機能があるツールなら、投稿に気軽にリアクションができます。自分の投稿にいいねなどの反応があれば、投稿者のモチベーションも上がり、生産性の向上も期待できるでしょう。
ノウハウや知識を会社全体で共有できる
社内SNSであれば、個人のノウハウや知識を、グループや会社全体で共有できます。メールや電話、紙の資料ならば共有できる範囲が限られ、必要な情報を後から検索する場合でも手間がかかるのに対し、社内SNSには検索機能があるので、全員でスムーズに共有できます。これにより、社員全体のスキルの底上げにも役立ちます。
情報共有のスピードが上がる
社内SNSは、外出先でもさまざまなデバイスでアクセスできるものが多く、リアルタイムに情報を受発信できます。また、挨拶などの定型文が不要で、伝えたい内容だけを簡潔にやり取りできるので、情報共有のスピードが格段に上がります。
部署間の交流が図れる
社内SNSは、部署の垣根を越えたコミュニケーションが可能となるので、同じプロジェクトを進めているなどの場合は、進捗や状況確認がスムーズになります。また、他部署との情報共有で、さまざまな視点によるアイディアや意見交換が盛んになります。お互いの協力意識が高まって、組織としての一体感がうまれることもあるでしょう。
社内SNSを使用するデメリットや注意点
社内SNSを導入するには、メリットだけではなく、デメリットも把握しておきましょう。
社内SNSを導入するためのコストがかかる
社内SNSの中には、無料で利用できるツールもありますが、利用可能期間や人数、使える機能が制限されます。社員数が多い企業や機能を最大限活用するには、有料プランを使う必要があり、その場合は初期費用や月々のランニングコストがかかります。このほか、社員が使い慣れるまでの教育コストがかかる場合もあります。導入時には、自社に必要な機能や効果とコストのバランスを考慮して、選ぶようにしましょう。
社内SNSが浸透しない・盛り上がらない可能性がある
社内SNSを導入しても、一部のメンバーしか投稿しない、社内イベントの告知のみに留まってしまうなど、社内に浸透しない可能性もあります。使い方がわからないままの人もいるかもしれません。社内SNSは、グループや社内の全員が活用してはじめて役立つものです。担当者を決めて浸透させるほか、レクチャーの時間を取って全員が使えるようにするなどの対策を組むようにしましょう。
社内SNSが負担・プレッシャーになることも考えられる
社内SNSも個人のSNSと同様に、自分に直接関係のないやりとりが増えることで、「SNS疲れ」に陥る可能性もあります。すぐに返事をしなければならない、新しいメッセージが届いているのでは?などのプレッシャーがかかり、社内SNSが心理的な負担になることもあります。社員のストレスが溜まらないように、自社に合った無理のない運用ルールを設定しましょう。また、導入後も定期的なヒアリングを行いながら、改善を図る必要があります。
社内SNS導入の活用事例
社内SNSを効果的に活用した事例として、公文教育研究会が挙げられます。同社では、グループウェアなどではできなかった暗黙知の共有を目的に社内SNSを導入したところ、生徒に接する時の実践例やちょっとしたコツ、ノウハウなども、情報交換されるようになりました。社内SNSの利用目的を明確にしたことで、全国の社員間のコミュニケーション活性化に成功しています。また、三井不動産レジデンシャル株式会社では、雇用形態や勤務場所、時間などの違いによる部門間のコミュニケ―ション不足が課題となっていました。そこで、社内SNSを導入したところ、それぞれの部署の社員が成功体験や経験談などを日記に投稿するようになり、日記を読んだ他の社員のモチベーション向上につながりました。部署を超えた情報共有も活性化して、多くの商談に結びついています。このほか、社外・社内とも連絡手段をメールとしていた会社が、社内のやり取りを社内SNSに変更することで、情報を選別する時間を大幅にカットでき、業務効率化に成功した例もあります。また、顧客からの要望やクレームを社内SNSを利用してすべて署で共有することで、商品改善のスピードアップと効率化につながった会社もあります。ある証券会社では、社内SNSの導入により、情報共有のために行っていた会議時間が10分の1となりました。また、トラブル時の経緯を時系列で共有したことで、管理者による早期判断が可能となり、影響が大きくなる前に解決につなげられるようになりました。さらに、ノウハウも社内で共有されるので、リスクヘッジの強化にもつながりました。
社内SNSの導入を失敗しないためのポイント
社内SNSを導入して効果的に活用したいのであれば、導入前に以下のポイントを確認しておきましょう。
ポイント1.社員と導入する目的について話し合う
社内SNSを導入するには、事前にその目的や、それによって解決したい課題などを明確にしておきましょう。社員と話し合ってこれらを具体化しておくことで、社員の関心や活用する意欲が向上し、有効活用につながります。また、不要な機能やオプションを追加せずにすむので、コスト削減にもつながります。
ポイント2.社内SNSのルールを決めて負担がかからないようにする
SNS疲れを予防するためにも、利用時間を決めるほか、スタンプの積極利用で返信を簡素化するなど、社員の負担を軽減する運用ルールを決めておくようにしましょう。また、私的利用の禁止なども、明確にしておくことが重要です。
ポイント3.積極的に使用する機会をつくる
社内SNSを有効活用するために、担当者を決めてグループごとにレクチャーをするほか、テスト用のグループチャットを用いて使用する機会を増やすなどにより、全員が使えるようにします。また、定期的に使い勝手や改善点などのアンケートを取り、対策を組むようにしましょう。
ポイント4.心理的安全性が保てているか定期的に見直す
社内SNSは、自分の考えや情報を積極的に発信・共有する場ですが、自分の投稿がどのように受け止められるかなどに不安に感じる人も多くいます。こんなことも知らないのかと思われたくなくて何も発現できない、いつも意見を否定されるので自信を失ったなど、臆することなく発言できるという心理的安全性が失われてしまうケースが多くあります。こうした事態に陥らないようにするためにも定期的な確認を行い、社内SNSの効果を最大化できるような環境づくりを心がけましょう。
社内SNSの機能例は?何ができるの?
社内SNSには、おおむね以下の機能が搭載されています。
チャット機能
チャットでは、メールのような冒頭の挨拶などが必要なく、絵文字やスタンプなどでリアクションができるので、気軽に情報のやりとりが可能となり、時間の短縮につながります。
グループ機能
プロジェクト別、部署別、テーマ別などのグループ作成機能を使えば、それぞれに関連したメンバー同士で、情報共有がスケジュール調整ができるようになります。
アップロード機能
文書や動画などのさまざまなFILEをアップロードできるので、データの送付やグループ内での共有も簡単にできるようになります。閲覧権限を付けることも可能なので、セキュリティ面も安心です。
【無料あり】おすすめの社内SNSツール8選を比較
ここからは、社内SNSの中でも特におすすめの8つのツールをご紹介します。
社内SNSツール1.Slack
Slackは、海外発のビジネス向けチャット形式のコミュニケーションツールで、Dropbox、GitHub、Zendeskなど、数多くのサービスと連携できるのが特徴です。テーマやプロジェクト、チーム別にチャンネルを作成して業務を管理でき、チームワークと個人作業の両方を1つのプラットフォームで完結できます。
ポイント
- 社外のメンバーとコラボレーションできる
- iOS、Android、Windows、Mac対応
- 料金は、無料プランのほか、月額1名960円の「プロ」プラン、月額1名1,800円の「ビジネスプラスプラス」プランなどがある
社内SNSツール2.Chatwork
Chatwork は、国内利用者数3年連続No.1※1を誇る国産のビジネスチャットツールです。チャット、ビデオ通話、音声通話、タスク管理など、機能が豊富な点が最大の特徴です。シンプルな設計で使いやすく、タスク管理機能や、BacklogやTwitter、Gmail、Googleカレンダーなどの他サービスとの連携も充実しており、社外のメンバーともつながれます。
ポイント
- 大企業や官公庁も導入できるセキュリティ水準
- チャット機能だけでも6つの機能を搭載
- 料金は、無料プランのほか、月額1名500円の「ビジネス」プランから月額1名800円の「エンタープライズ」プランまで
※1 https://go.chatwork.com/ja/
社内SNSツール3.gamba!
gamba!は、日報機能に特化した社内SNSツールです。豊富なテンプレートやGoogleカレンダーと連携でき、売上や契約件数などの目標の達成状況を可視化できるので、日々の情報を共有しながら、チームワークの活性化につなげられます。
ポイント
- 入力しやすい豊富なテンプレート
- iOS、Android、Windows、Mac対応
- 料金は、初期費用・月額利用料含め要問合せ
社内SNSツール4.Talknote
Talknoteは、社内のコミュニケーションを活性化させ、社員のモチベーションやエンゲージメント向上を実現するツールです。グループやタスク管理など基本機能のほか、アクションリズム解析機能により、社員がTalknoteを利用した頻度や投稿量を分析して、モチベーションの変化を素早くキャッチできるので、マネジメントにも役立ちます。
ポイント
- 社外の人とのコミュニケーションも可能
- 投稿を時系列で確認できるので、動きが可視化される
- 料金は、初期費用・月額サービス利用料含め要問合せ
社内SNSツール5.SMART Message
SMART Messageは、セキュリティレベルの高さに定評があり、各社のセキュリティポリシーに合わせて、柔軟にセキュリティ制限の設定が可能な点が特徴です。シンプルなデザインとUIなので、初心者でも直感的に操作できるツールです。
ポイント
- 金融機関も認める高セキュリティで安全なコミュニケーションが可能
- 直観的に操作方法がわかるシンプルなデザイン・UI
- 料金は、要問合せ
社内SNSツール6.nanoty
nanotyは、日報をベースに、社員の情報共有やコミュニケーションの活性化、業務効率化を実現するクラウドシステムです。シンプルな画面なので初心者でも使いやすく、豊富なオプション機能もあるので、会社の成長に合わせた拡張も可能です。
ポイント
- 作業工数集計なども可能な集計機能も搭載
- 英語・ベトナム語に切り替えられる多言語オプション付き
- 料金は、月額1名9,500円の「SMALL」プランから月額1名45,000円の「LARGE」プランまで
社内SNSツール7.LINE WORKS
LINE WORKSは、モバイル版のLINEと同じ操作感でビジネス利用できるチャットツールです。チャット機能のほか、スケジュール共有機能やアンケート機能、掲示板、アドレス帳など、コミュニケーション機能が豊富な点が特徴です。
ポイント
- なじみのあるUIなので導入しやすい
- 24時間365日体制でサーバ監視
- 料金は、100人まで利用できる「フリー」プランから月額1名1,000円の「プレミアム」プランまで
社内SNSツール8.Yammer
Yammerは、Microsoft社が提供していることから、Microsoft TeamsやSharePointなど、Office製品とシームレスな連携が可能なコミュニケーションツールです。最大1万人までリアルタイムで参加できるビデオ視聴や対話型ディスカッション機能が搭載されており、画面共有も簡単なので、テレワークにも適したツールです。
ポイント
- 外部ユーザーとのやりとりも可能
- 多言語対応で、世界中で豊富な導入実績がある
- 料金は、月額1名540円の「Microsoft 365 Business Basic」プランから月額1名2,180円の「Microsoft 365 Business Premium」プランまで
自社の活用目的にあった社内SNSを導入しよう
社内SNSは、社員間のコミュニケーションの活性化につながり、気軽に情報交換ができることから、業務の効率化につながるツールです。また、ノウハウやナリッジなどを、部署を超えて共有できるので、社員全体のスキルの底上げや生産性の向上も期待できます。社内で有効活用できる社内SNSを導入するには、利用する目的や社内SNSによって解決したい課題を明確にしておくことが重要です。また、一部の社員しか利用しなくて浸透しない、心理的な負担になるなどの可能性もあるので、自社の状況や環境にあったルールを設定して、定期的に社員の声を確認しながら運用するようにしましょう。
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