テレワークを行う機会も増えてきていますが、会社で使っていた画像編集のソフトウェアが自宅のパソコンでは使えないといった状況に困っている方も多いかもしれません。業務で必要だとしても、個々の端末環境に有料のソフトウェアを導入する費用まで補填してくれる企業は少ないと思われます。また、近年はWebサイトのリッチコンテンツ化が進む中で、ノンデザイナーの職種でも、簡単な画像加工作業が必要となるシーンが増えてきました。こうした状況に対応すべく、本記事では無料の画像加工ツールを選ぶ際のポイントと、おすすめのツール8選を紹介します。
画像編集ソフトを選ぶポイント
利用環境:オンラインソフト型かダウンロード型か
無料の画像編集ソフトは、大きく分けて自分の使っているPC(ローカル)にダウンロードして使うソフトウェアと、一般的にSaaSと呼ばれるWebブラウザからアクセスして利用できるサービスの2種類があります。前者はインターネット環境に繋がなくても利用できるのがメリットです。しかし、ある程度スペックが高い端末でないと画像編集ソフトがサクサク動かない、端末の容量を圧迫するといったデメリットがあります。後者は、ブラウザさえインストールされていれば、どんな端末環境でも利用できます。しかし、インターネット環境に繋がれていないと使用できません。
近年は、クラウドサービスのセキュリティも強化されており、オンラインのツールを使っても外部に情報が漏洩するといった問題は少なくなってきています。しかし、データがクラウド上にアップされるので、サービスを提供するサーバーがあるエリアによっては社外秘になるようなクリエイティブ素材を扱うには少し不安があるかもしれません。そういった場合は、ダウンロード型のソフトウェアを選択するほうが良いでしょう。
料金:無料か有料か
Webメディア制作などが事業の中心であるという企業や部署であれば、Adobe Creative Cloudを利用することをおすすめします。しかし、近年は、様々なサービスがサブスクリプション化しており、特にAdobeを筆頭に画像編集ソフトの利用には高いランニングコストがかかります。営業や販促といった制作系ではない部署や、小規模企業などでは無料のツールを上手に利用することでコストを抑えていくことも非常に大切な経営戦略だと思います。
また、フリーランスのWebライター、Webメディア編集といった職種の人は、画像サイズ変更や解像度調整まで請け負うというケースも増えてきています。このように、リサイズやテキスト挿入といった使い方のみで、高度な画像編集は必要がない場合は、本記事で紹介するような無料ツールの導入をおすすめします。Adobeの導入が難しいのは、サブスクリプション化にあるという企業もあるかもしれません。本記事では割愛しますが、Photoshop、Illustratorと同等の機能を持つ買い切り型のサービスでAffinityという買い切りのソフトウェアも存在します。通常6,000円前後で購入でき、半額セールも定期的に開催されていますので選択肢の一つに加えても良いかもしれません。
操作性:初心者でも使えるか
ツールを選ぶ上で比較検討しておくべき重要な項目の一つに、ツールの操作性が挙げられます。多機能でプロ向けなツールは、初心者やノンデザイナーは、かえって使いづらいケースもあります。また、画像編集と一口に言っても、写真の編集・加工、イラスト作成、グラフックデザインと様々な用途が存在します。写真編集が主目的のソフトでイラストのデータを開いたり、その逆もできることが多いですが、目的や用途を明確にしてからツールを選ばないと、無駄な手間が増え作業効率が低下しますので注意しましょう。目的や用途を明確にした上でツール選びを行うのが失敗しないポイントです。
おすすめの無料画像編集ソフト7選
ここからはおすすめの無料画像編集ソフト7選を紹介します。
Canva(キャンバ)
Canvaは無料で使えるオンライン写真加工アプリです。サイズ変更、トリミング、フィルター加工と画質調整といった画像編集をスピーディーに行えるツールです。アプリをダウンロードしたり、プラグインを追加する必要もないので端末環境を選びません。より高性能な機能を搭載し、大容量のストレージが利用できるプロ版、企業版も提供されていますので、高度な編集が必要になれば無料版から移行することも簡単です。
- 無料で使えるオンライン写真加工アプリ
- サイズ変更、トリミング、フィルター加工などの機能を搭載
- より高性能な機能搭載し、大容量のストレージが利用できるプロ版、企業版も提供
Canva, Inc.
Canvaは、オンラインで使えるグラフィックデザインツールです。ブラウザがあればいつでもデザインが可能で、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末のアプリにも対応してます。SNSのカバー写真や投稿写真のデザイン、広告バナーのデザイン、ロゴ制作、ポスター作成など利用ケースに応じた様々なテンプレートが用意されています。
本記事では無料で使えるオンラインデザインツール「Canva」についてご紹介します。Canvaを使えば、例えデザイナーがいなくとも、簡易的なデザイン編集が可能になります。Canvaの基本的な特徴や使い方を本記事で解説しますので、概要をサクッと[…]
GIMP
GIMP(ギンプ)は無料で提供されている画像加工・イラスト作成ツールで、約25年の歴史を有する人気の高いソフトウェアです。Windows版、Mac版の両方が提供されており、日本語にも対応しています。AdobeのPhotoshopとIllustratorの両方を組み合わせたようなツールで、画像加工ツールとペイントツールの機能が一つにまとめられています。拡張性やカスタマイズ性も高く、機能を拡張するプラグインも数多く提供されています。さらに、様々な処理を自動化できるスクリプト処理にも対応しているのでプログラマー、プロジェクトマネージャーなど開発者にもおすすめできる無料ツールです。
- 約25年の歴史を有する人気の高いフリーソフトウェア。Windows版、Mac版を提供。
- 多機能で画像加工ツールとペイントツールの機能が一つにまとめられている
- 拡張性やカスタマイズ性も高く、プラグインも数多く提供されている
GIMPに関しては以下の記事も参考してください。
近年はWebサイトのリッチコンテンツ化が重要な施策の1つとなってきています。そうした流れの中で、広報・販促・マーケティング・編集・営業といったノンデザイナーの職種でも、簡単な画像加工作業が必要となるシーンが増えてきました。こうした状況に対応[…]
Fotor
オンラインで画像編集ができる無料サービスです。画像のサイズ変更、文字入れ、トリミングといった画像加工ソフトの基本機能の他、コラージュ機能、Twitter、InstagramなどのSNS用ポスト作成ツール機能、ロゴ作成機能なども搭載しています。自動翻訳っぽさが気になるところではありますが、日本語化もされているので操作で迷うことはありません。
- オンラインで画像編集ができる無料サービス
- 画像のサイズ変更、文字入れ、トリミングなどの機能を搭載
- 初心者でも高品質な画像を作成できるコラージュ機能、ポスト作成ツール機能、ロゴ作成機能などを搭載
PIXLR(ピクセラー)
世界的に人気のあるオンライン画像編集ソフトです。写真編集ソフトのPIXLR EとグラフィックデザインソフトのPIXLR Xの2つが提供されており、両方とも無料で利用できます。基本の編集ツールに加え、一部機能に制限が付きますが、全体のビジュアルにテクスチャを追加することができるオーバーレイ機能やステッカー機能が標準搭載されています。AI機能を搭載したスマートツールを使えば、ノンデザイナーでもプロのような仕上がりの加工を施すこともできます。また、繰り返しが必要だった作業もAI機能で自動化できるので大変便利なツールです。より高度な機能を搭載し、広告をなしにできるプレミアム版、クリエイティブパックも提供されています。
- 世界的に人気のあるオンライン画像編集ソフト
- 写真編集ソフトとグラフィックデザインソフトが無料で利用可能
- AI機能を搭載したスマートツールが便利
INKSCAPE(インクスケープ)
Mac、Windows、GNU/Linuxに対応したオープンソースのベクターグラフィックエディタです。利用サイズに関わらず画質を保つことができるベクター形式の描画・編集が可能なので、ロゴやキャラクターのデザインも可能です。ベクターを使いこなすにはスキルが必要なので初心者向きではありませんが、ノンデザイナーでもそれらのファイルを開いて画像をリサイズするといった状況は多々あると思います。様々なファイル形式に対応しているので、Illustratorで作成してもらったロゴをベクターのまま開きたいといった状況にも役立つソフトです。
- Mac、Windows、GNU/Linuxに対応したグラフィックエディタ
- ベクター形式の描画・編集が可能
- 様々なファイル形式との互換性がありaiファイルも開ける
Photo Pos Pro
無料で利用できるWindows用の画像編集ソフトです。公式サイトからダウンロードすれば、すぐに利用可能です。初心者にも使いやすいコアツールというシンプルなインターフェースの編集機能を搭載しているので、ノンデザイナーにも使いやすいツールです。その一方で、インターフェイスを編集経験に応じてカスタマイズすることも可能なので、Adobeを利用するような経済状況にはないけれども、デザイナーを目指したいといった方にもおすすめできるサービスです。JPGやGIFといったファイル形式はもちろん、RAWやPSDといったフォーマットにも対応しているので、カメラマンやデザイナーとデータをやりとりする時にも非常に便利です。
- 無料で利用できるWindows用の画像編集ソフト
- 初心者にも使いやすいシンプルなインターフェースの編集機能を搭載
- RAWやPSDといったフォーマットにも対応
7.Krita
初心者からプロまで使える本格的なフリーペイントツールです。Mac、Windows、Linuxに対応しています。ノンデザイナーでも迷うことなく操作可能なユーザーインターフェイスに、ブラシの手ブレ補正機能、ポップアップパレット機能、ブラシエンジン機能、ラップアラウンドモード機能、リソース管理機能などを搭載。さらに基本的なペイントツールの機能に加えて、SVGや3DCDの作成も可能です。このように使い勝手がよく高機能なので、ユーザーには著名なイラストレーターや漫画家も存在します。設定は少し難しいかもしれませんが、日本語化ファイルも提供されています。また、ライブラリから過去バージョンもダウンロードできるので、古い機種やOSでも使える無料のペイントツールを探している人にもおすすめのアプリです。
- Mac、Windows、Linuxに対応した本格的なフリーペイントツール。
- ブラシの手ブレ補正機能、ポップアップパレット機能などを搭載
- デフォルトで多言語化されており、日本語化ファイルも提供あり
おわりに
実際のところ、一つだけでAdobeのソフトの代替になる無料ツールはありません。しかし、複数のツールをうまく使い分けることによって、かなりの機能をカバーできることが本記事からも分かったのではないでしょうか。画像編集ソフトの操作は共通な部分も多く、一つのツールをマスターしてしまえば他のツールの操作を覚えるのにも、それほど時間を要しません。今回おすすめした無料ツールで慣れてから、有料ツールに移行しても問題ありませんので、まずは試してみましょう!
この記事を見た方におすすめの記事
業務やプライベートで、PSD形式のファイルを入手して、困ったことはありませんか?PSDは、通常Photoshopのみで開くことができるファイルです。Photoshopは画像や写真の編集に適したツールです。しかし、利用するためにはライセンスの[…]
会社の設立や、商品・サービスを販売する際に、ブランディングを目的としたロゴが必要となる場合があります。ロゴを作成しておくと、消費者からも認識されやすくなり、売上アップにもつなげられます。そこで、本記事では、無料で作成できるロゴメーカー・ジェ[…]
ホームページ制作などでよく耳にする「ヘッダー」「フッター」という単語があります。具体的に何を指すか正確に回答できますか?本記事では「ヘッダー」「フッター」について、その定義や実際の作り方について解説をします。 ヘッダーの意味と役割とは? […]
この記事を見た方におすすめのサービス
Shutterstock, Inc.
Shutterstock(シャッターストック)は3億5000万以上の画像素材を揃える最大規模のストックフォトサービス。写真、ベクター画像、イラストなど、高品質なロイヤリティフリー画像をダウンロード可能。