企画書を作成するとき、新サービスを考える会議に参加するときなど、アイデアが必要な状況になる場面がありますよね。直近はコロナ禍でリモートワークも増えつつあり、対面コミュニケーションにてアイデアをブラッシュアップすることも容易ではない状況が続いています。本記事ではアイデアをまとめていくのに役立つマインドマップという手法を取り入れたツールを紹介します。
この記事の読者におすすめのツール
マインドマップとは
マインドマップは、イギリスの著述家・教育コンサルタントのトニー・ブザン(Tony Buzan)氏によってブレインストーミングの手法の一つとして考案されました。1960年代に開発されたこのマインドマップは、コンサルティング業界などをはじめとしたビジネスシーンで取り入れられる中で、様々な改良が加えられ思考・感情・アイデアを抽出・整理するツールとして発展を遂げてきています。
マインドマップを導入することで得られる効果やメリット
ブレインストーミングは、集団で思考・発想をしていくことで課題を抽出していくアプローチ法です。マインドマップも、そうした集団での思考・発想の整理に役立ちます。一方で、一人で思考や発想を整理し、課題を抽出するツールとしても注目されています。
マインドマップから得られる効果には様々なものがありますが、以下が代表的な効用です。
- 考えの整理
- 全体の把握
- プロセス共有の円滑化
- 学習効率の向上
考えの整理
マインドマップは考えていることが視覚化されます。このため、書き出すまでは抽象的でふわふわしていた考えを具体的にビジュアライズできることで、継続して考えていくことが楽になるというメリットがあります。
全体の把握
また、作成されたマップから思考の流れを全体像として把握できるため、マインドマップをきっかけに深く洞察したりそこから新たな推考につなげたりしていくことにも役立ちます。
プロセス共有の円滑化
他者にマインドマップを使って説明することで、自身の考えを共有しやすくなるだけでなく、どうしてその考えにたどり着いたのかというプロセスも伝えることが可能になります。
学習効率の向上
ノート術として学習に役立てることもできます。思考をビジュアル化することで、記憶力や発想力を高める効果が期待できるので、学習能力や理解力の向上にも役立つと考えられているのです。
マインドマップの具体的なやり方
具体的なマインドマップの作り方を解説していきます。マインドマップは、中心に主題となるキーワードを置き、そこからブランチ(枝のこと:ノードとも呼ばれたりする)を伸ばして、主題のキーワードから発想する言葉やイラストを書き込んでいくスタイルで思考をビジュアル化していきます。
メインブランチとサブブランチ
主題から直接伸びている最初の階層のブランチを「メインブランチ」と呼びます。メインブランチから直接伸びている階層のブランチを「サブブランチ」と呼びます。ブランチは基本的にはゆるやかなつながりをもったまとまりが望ましいとされています。決定木構造のように、厳密にロジックで因数分解されている必要はなく連想やフィーリングを重視します。
ブランチは6-7こを上限にするのが望ましいと言われています。
【参考】決定木(Decision Tree)▼
カラーやイラストでイメージをわかせる
シンプルにテキストのみではなく、ふせん・カラーリング・写真イメージをそえるなどイメージをわかせる工夫をすると定着が促進されます。
全体を共有する
マインドマップが完成したら、しかるべきメンバーに共有をします。もちろん自分用に作った場合は不要です。マインドマップから導かれた結論を整理してもよいですし、あえて結論を出さないままでもかまいません。マインドマップ作成の目的によってアウトプットの使い道は異なります。例えば、構造そのものを可視化する場合、アイデアを出していくつかに絞る場合など場面に応じてゴール設定は異なります。いずれにしてもマインドマップは思考過程の具現化素材となるため完成版は捨てずに保存しておくことをオススメします。
以上が具体的なマインドマップの作成手順となります。
オススメのマインドマップツール
マインドマップ自体は、思考や発想の表現方法であるため、紙とペンがあれば作成することができます。しかし、マインドマップの作成方法を身につけるには、それなりに時間がかかります。今回紹介するコンピューター上でマップを描くことができるソフトウェアやアプリを利用すれば、感覚的にマインドマップを作成できるので便利です。以下に、おすすめのマインドマップツールを紹介します。
PC(Windows / Mac)で使いやすいマインドマップツール7選
様々なマインドマップ作成用のアプリケーションがありますが、まずはPC環境(Windows / Mac)で使いやすいマインドマップツールを紹介します。
リアルタイムで共同作業が可能-MindMeister(マインドマイスター)
MindMeister(マインドマイスター)はアイデアを視覚的に捉え、発展させ、シェアできるオンラインのマインドマップ作成ツールです。クラウドサービスなのでブラウザさえあれば利用可能です。iOSアプリやAndroidアプリもリリースされているので、どこからでもアクセスできる環境を作り出すことができます。リアルタイムで共同作業が可能になるので、リモートワークのコレボレーションにも向いています。また、スライドショー形式でマインドマップで作成されたアイデアを共有できるプレゼンテーションモードも搭載されています。さらに、タスク管理アプリとしての機能も搭載されているので、プロジェクトマネジメントをシンプルで管理しやすい環境を構築することも可能です。
ポイント
- Webアプリケーションだけでなく、iOSアプリやAndroidアプリもリリースされている
- スライドショー形式のプレゼンテーションモードも搭載
- タスク管理アプリとしての機能も搭載
MeisterLabs, Inc.
MindMeisterは、業界一のマインドマッピング・ソフトウェアで、マインドマップ上での作成、共有、コラボが可能なオンラインツールです。中央のメインアイデアから始め、サブトピックを無制限に作成し、色分けしてわかりやすくすることができます。
ツリーのように創造性を高める-XMind(エックスマインド)
XMindは、世界中で数百万人のユーザーに利用されているマインドマップソフトウェアです。このツールは、アイディアのブレインストーミング、思考の整理、情報の管理、プレゼンテーションなど、さまざまな目的で使用できます。XMindは、ビジネスパーソンや教育関係者、学生など、幅広いターゲットに向けて提供されており、その直感的なインターフェースと強力な機能が高く評価されています。
XMind Ltd.
XMindは、世界中で数百万人のユーザーに利用されているマインドマップソフトウェアです。このツールは、アイディアのブレインストーミング、思考の整理、情報の管理、プレゼンテーションなど、さまざまな目的で使用できます。
ファイル形式で保存する機能も搭載-FreeMind(フリーマインド)
マインドマップを作成できるフリーのソフトウェアです。WindowsやMac OSはもちろん、Linuxでも動作します。簡単にマインドマップを作成できるだけでなく、作成したマインドマップをPNG・PDF・HTMLといったファイル形式で保存する機能も搭載しています。インストールは、JREというプログラムのダウンロードが必要になりますが、難しくはありません。キーボード操作のみでも、ほとんどのマップが作成できるので、マウスやトラックパッドが使いづらいUMPCなどでも使いやすいマインドマップツールです。
ポイント
- フリーのソフトウェア
- PNG・PDF・HTMLといったファイル形式で保存する機能も搭載されている
- マウスやトラックパッドが使いづらいUMPCなどでも使いやすい
オンライン作図ツール-Cacoo(カクー)
Caccoはオンラインで簡単に図を作成、共有できるオンライン作図ツールです。メンバー同士で会話しながらリアルタイムで編集できるので、口頭では伝えにくいアイデアの共有に最適です。直感的な操作性に加え豊富なテンプレートが揃っているので、どなたでも簡単にご利用いただけます。 スライドショーモードを利用すればCacooで作った図でプレゼンテーションを行うこともできます。コメント機能やチャット機能を使えばチーム内でのフィードバックも簡単です。 さらには、Cacooアカウントを持っていない相手への図の共有も可能です。編集または閲覧権限を設定できる点も安心です。
ポイント
- クラウドベースなのでいつでもアクセス可能
- メンバー同士で会話しながらリアルタイムで編集できる
- 直感的な操作性に加え豊富なテンプレートが揃っている
株式会社ヌーラボ
〜“こんな感じ!”を持ち寄ろう。図を使いながらリアルタイムで頭のなかを共有し合う。Cacoo〜
チームのアイデアを形にして共有できるオンライン作図ツールです。
フラットデザインが採用されている-Coggle(コグル)
Coggleはオンラインでマインドマップを作成できるWebアプリケーションです。基本的な機能は無料で使えるので、導入コストもおさえられます。リアルタイムに共同編集が行える機能も搭載されています。フラットデザインが採用され、今のトレンドにあった美しいマインドマップが作成できるのもCoggleの特徴です。ノード(枝)をセクションごとに色分けできるので、プレゼンテーションやセミナーなどにも最適なマインドマップ作成ツールです。
ポイント
- フラットデザインが採用され美しいマインドマップが作れる
- リアルタイムに共同編集が行える機能を搭載
- セクションごとに色分け機能を搭載
CoggleIt Limited
Coggleは、複雑な事象を理解するのに役立つ共同マインドマップツールです。無制限のマインドマップを作成し、友人や同僚と簡単に共有することができます。ブラウザ上でオンラインで動作し、ダウンロードやインストールは不要です。
オンラインホワイトボードツール-miro(ミロ)
マインドマップも作成できるオンラインホワイトボードです。ホワイトボードアプリなので、ブレインストーミングを行う様々な手法の一つとしてマインドマップ機能も搭載されています。miroでは、様々なブレインストーミングのフォーマットが用意されています。例えば、マインドマップや、KJ法のようなふせんを貼ってアイデアを出していくスタイルのボードの他にも、カンバンボード、リーンキャンパス、コンセプトマップ、ロードマップなど目的に応じて様々なテンプレートから目的にあったフォーマットを選択することができます。手書きで図形を補正できるスマートドローイング機能、各種アプリケーションをアドオンとして追加できる機能なども搭載しています。マインドマップを作成する専用のツールではありませんが、他のツールに引け劣らない様々な機能が搭載されています。
ポイント
- マインドマップも作成できるオンラインのホワイトボードツール
- マインドマップ以外にも、様々なブレインストーミングのフォーマットが用意されている
- スマートドローイング機能、各種アプリケーションをアドオンとして追加できる機能なども搭載
本記事ではクリエイターやビジネスパーソンに絶大な人気を誇るオンラインホワイトボードサービス miro(旧 Realtime Board )について解説します。miroがあれば、「アイデア出し」「プロトタイプ作成」「ブレスト」「業務整理」[…]
MS Oficceとの連携機能も充実-iMind Map(アイマインドマップ )
トニー・ブザン氏が監修し、唯一公認したマインドマップ作成ソフトです。有料のアプリケーションで、機能限定のHome&Student版と全機能が使える Ultimete版が提供されています。OSはWindowsとMac OSの両方に対応しています。完全ではありませんが、公式サイトも日本語対応しており、アカウント作成も難しくありません。考案者が認めたツールなので、マインドマップについて、より深く理解したいという場合に特におすすめです。また、MS Oficceとの連携機能も充実しており作成したマインドマップをWordやPowerPointの文書に変換することができます。さらに、それぞれのブランチごとにノートを追加できる機能や、手書きのマインドマップを作成できるフリーハンド機能、ブランチを閉じたり開いたりすることができるプレゼンテーション表示機能などが搭載されています。
ポイント
- トニー・ブザン氏が公認・監修した唯一のマインドマップツール
- MS Oficceとの連携機能も充実
- ブランチごとにノートを追加できる機能、フリーハンド機能、プレゼンテーション表示機能などを搭載
スマホアプリ(iOS / Android)で使いやすいマインドマップツール
アイデアを試行錯誤する時間が十分にとれず、通勤・通学といった移動中の時間を使いたいという人もいるかもしれません。ここでは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で使いやすいマインドマップアプリを紹介します。
大半の端末で利用できる-SimpleMind+(シンプルマインドプラス)
マインドマップを始めるのに必要な機能のほとんどが搭載されたアプリです。iOS版とAndroid版がリリースされているので、大半の端末で利用ができます。また、アカウントの登録が不要なので、アプリをダウンロードしたら、すぐに利用可能。さらに、広告やデータ収集がないので、煩わしさを感じることなく安心して使えるのもおすすめポイントです。
ポイント
- iOS版とAndroid版がリリースされている
- アカウントの登録が不要でダウンロード後、すぐに利用可能
- 広告やデータ収集がないので安心して使える
iOS用のマインドマップ作成ソフト-iThoughts
iOS用のマインドマップ作成ソフトです。モバイルはiOS版のみですが、PCではWindowsとMac OS両方で利用可能です。iOSのSiriやダークモード、マルチタスクなどにも対応しており、iPhoneユーザーでマインドマップ愛用者の方には、非常におすすめのアプリです。また、XMind、iMindmapといった多くのデスクトップ用のマインドマップツールのファイル形式と互換性があるので、利用環境に応じて使い分けができることも魅力の一つです。有料版の他に、無料版のiThoughts2goというアプリも提供されています。こちらは、マップの編集はできず閲覧専用ですが、他のアプリケーションとの互換性は有料版と同様なので、出先でマップを確認したいだけといった用途であれば、十分に使えるアプリです。
ポイント
- iOSのSiriやダークモード、マルチタスクなどにも対応
- デスクトップ用のマインドマップツールのファイル形式と互換性がある
- 閲覧専用の無料版iThoughts2goも提供されている
おわりに
マインドマップ自体は非常に歴史が長い手法です。そして、本記事で紹介したように様々なツールが開発・提供されています。マインドマップツールをお探しの際は自分にあったものを見つけることができるかもしれませんので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。また、まだマインドップを使ったことがないという人も本記事で興味を持った方が多いのではないでしょうか。今回紹介したツールを使うことで、マインドマップの専門知識がなくても感覚的にアイデアを抽出・整理できるので、ぜひ検討してみてください。
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