在庫管理システムの具体的なメリットについて気になる方も多いのではないでしょうか。そこで、本記事では、在庫管理システムの機能に加え、システム導入によるメリットを紹介します。また、在庫管理システム導入時の注意点や、選ぶ際のポイントも解説していきます。どのシステムを導入するか迷われている方は、ぜひ参考にしてみてください。
在庫管理システムの主な機能
在庫管理システムとは、あらゆる製品の在庫を管理するためのソリューションツールです。主に、入出庫管理がメインの機能となりますが、そのほかにも便利な機能が備わっています。
在庫一覧
在庫一覧機能は、製品や保管場所ごとの在庫数を管理できます。また、在庫製品の検索機能も備えており、ピッキングリストの作成や、出庫する製品データの抽出も可能です。
入出庫管理
入出庫管理は、入庫・出庫予定製品の検品や管理業務をサポートする機能です。具体的には、入庫時に品番やロット番号などが登録されたバーコードを発行し、検品時や出庫時に読み取ることで、システム上での管理を効率化します。
返品管理
返品管理機能は、返品による再入庫の際に、在庫記録を修正する機能です。システム上で自動的に在庫データを更新できるため、再入庫処理で生じやすい入力ミスや、在庫の過不足が生じるのを防ぐのに役立ちます。
在庫分析
在庫分析機能は、システムに蓄積した入出庫データを分析する機能です。売れ行きが好調な製品を調べたり、市場の需要予測を立てたりするなど、在庫状況の可視化に便利です。これまでの入出庫データをもとに、在庫しておくべき製品や数量を調整しやすくなります。
在庫管理システムを導入する3つのメリット
在庫管理システムを導入することによって、企業が得られるメリットを解説します。
メリット1.在庫管理の効率化
在庫管理システム導入のメリットは、在庫管理業務全体の効率化です。たとえば、手書きやエクセルを使って品番や在庫数などを入力している場合、製品数が多ければ多いほど手間が増え、業務の負担となる可能性があります。一方、在庫管理システムでは、入庫時に割り当てたバーコードを読み取るだけで、リアルタイムでシステムに在庫データを反映できます。手入力で在庫状況を管理する必要がなくなり、従業員の負担軽減や、作業スピードの向上につながるでしょう。
メリット2.人的ミスの予防
在庫状況を手書きやエクセルで管理していると、似たような製品名を書き間違えてしまったり、在庫数を誤って記録してしまったりといった、人的ミスが生じやすい危険性もあります。在庫管理システムを導入することで、在庫製品をバーコードで管理し、正確なデータを記録できるようになります。人的ミスそのものを防げるようになるほか、在庫管理作業の精度を高めるのにも効果的です。
メリット3.棚卸の負担軽減
在庫管理システムは、棚卸作業の負担軽減にもメリットがあります。たとえば、在庫製品をシステム上で管理することで、現在の在庫数や出庫状況をリアルタイムで可視化するため、適正な在庫数の把握が可能です。在庫製品を多く抱えている倉庫では、棚卸作業だけで人員を確保する必要があるほか、数え間違えにもつながりやすくなります。従業員の負担を軽減するためにも、在庫管理システムを導入する価値があります。
在庫管理システム導入時の3つの注意点
在庫管理システムの導入は、自社の在庫管理業務の効率化や人的ミスの軽減などのメリットを得られます。とはいえ、ただ導入するだけでは、期待していたほどの効果を得られない可能性があります。そこで、在庫管理システムを導入する際に、3つの注意点を確認しておきましょう。
注意点1.現状の課題を明確にしてから導入する
在庫システム導入による効果を高めるためにも、自社で抱えている課題を明確にすることが大切です。たとえば、在庫管理業務における人手不足や、取り扱い製品の増加による人的ミスの増加など、課題を明確にします。課題や改善点を明確にしていない場合、在庫管理システムを導入しても、十分に使いこなせない可能性があります。
注意点2.導入後の運用ルールを決める
在庫管理システムの導入時は、運用ルールを決めておきましょう。在庫製品の登録や初期データの設定、バーコードの取り扱いなど、マニュアルとして用意しておくと便利です。また、システムを導入前と導入後では、在庫業務の方法が大きく変わることも予想されます。各従業員が、在庫管理システムを適切に使用できるように、トレーニングの実施も必要です。
注意点3.導入前に無料トライアルで使ってみる
在庫システムの費用や性能が気になる方は、本格的に導入する前に無料トライアルを試してみてください。無料トライアルを利用することで、自社の課題や改善したい点が解決できるかどうかを事前に確かられます。また、同じ条件で使用した場合の対費用効果を比較することも大切です。無料トライアルを通して、システム単体の費用だけでなく、維持費用、管理費用、その他設備の導入費用などを計算しましょう。
在庫管理システムを選ぶ4つのポイント
在庫管理システムは、製品によって特徴や機能が異なります。以下で解説する4つのポイントを押さえて、在庫管理システムを選びましょう。
ポイント1.機能
在庫管理システムを選ぶ際には、機能面を重視します。必要としている機能が備わっていないと、在庫管理業務における課題の解決や、改善を実現できないためです。導入時の注意点でも解説したとおり、在庫管理システム導入前に自社の課題・改善点を整理します。それぞれの課題・改善点に対して、どのような機能を活用すればよいかを判断した上で、在庫管理システムを選びましょう。
ポイント2.導入形態
2つ目のポイントは、在庫管理システムの導入形態です。在庫管理システムには、大きく分けて「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類があります。まず、オンプレミス型は、自社でサーバーを準備し、在庫管理システムを運用する形態です。社内サーバーを利用するため、セキュリティ面に安心できる一方で、導入コストがかさんでしまう点はデメリットとなります。次に、クラウド型は、システムを提供する企業や第三者企業が管理するサーバーで運用する形態です。自社でサーバーの導入や、保守業務を行う手間は省けますが、毎月の使用量を支払う必要があります。いずれの導入形態でも、メリット・デメリットがあるため、自社の環境やコスト面などを考慮した上で選ぶようにしましょう。
ポイント3.対応端末・OS
自社の既存システムと連携するためにも、対応端末・OSについて確認します。パソコンやコピー機といった機器類だけでなく、販売管理システム、受注入力システムなどのツールと連携することで、業務の効率化が可能となります。在庫管理システムと既存システムを連携する際には、対応端末・OSに加え、API自動連携や、CSV自動出力機能が備わっていると安心です。
ポイント4.サポートやセキュリティ
在庫管理システムの導入後を考慮し、サポート体制やセキュリティレベルについても調べておきましょう。サポート体制が十分に整っていない場合、トラブルが起きてから解決するまでに時間がかかり、入庫作業・発送業務に影響を及ぼす可能性があります。また、売れ筋製品や需要量の変動など日々蓄積する在庫データは、自社にとって大切な情報資産です。情報漏洩が発生しないようにするためにも、運用会社のセキュリティ対策が適切であるか必ずチェックします。
在庫管理システムを紹介
最後に、在庫管理システムを2つ紹介します。それぞれの特徴を把握した上で、導入時の参考にしてみてください。
【必要な機能を厳選】アラジンオフィス
株式会社アイルが販売するAladdin Officeは、5,000以上への導入実績があり、ファッション、食品、工業などあらゆる業界における在庫管理業務の効率化に最適です。とくに、独自機能である「CROSS-OVERソリューション」を活用することで、実店舗とECサイトの両方から在庫を管理できます。また、コールセンターや、リモートでのトラブル対応などサポート体制も充実しており、安心して利用できるのがメリットです。
ポイント
- 実店舗とECサイトの連携でさらなる効率化
- 充実したサポート体制による信頼性
- 料金は、1,200,000円から
【連携機能が充実】在庫管理システム(内田洋行ITソリューションズ)
株式会社内田洋行が提供する内田洋行ITソリューションズは、入庫時の検品から、入庫・出庫処理、棚卸処理、在庫データの管理といった豊富な機能を備えています。また、外部ツールとの連携性に強みを持っており、販売管理システムや、受発注システム、会計・財務管理ツールなどへの反映も可能です。本製品は、クラウド型を採用しているため、自社でサーバーを用意する必要がなく、導入コストを抑えられます。
ポイント
- 在庫管理業務をトータルでサポート
- 外部ツールとの連携に対応し、業務効率化を実現
- クラウド型採用により導入コスト削減が可能
【多種多様な導入実績】ZAICO
ZAICOは、株式会社ZAICOが提供するクラウド在庫管理ソフトです。専用機器の購入や初期費用は不要で、パソコン・スマホがあればすぐに導入できます。入庫・出庫処理、棚卸処理等はスマホでスキャンするだけで簡単に行えるため、人為的ミスを削減できるでしょう。CSVファイルやAPIを利用して、他社サービスとの連携も可能です。
ポイント
- クラウドソフトのため、パソコン・スマホがあれば導入可能
- スマホスキャンで入出庫や棚卸処理が可能
- 31日間のお試しプランあり
【無料で始められる】ロジクラ
株式会社ロジクラが提供するロジクラは、主に小売業やECビジネスむけの在庫管理システムです。自社倉庫や委託倉庫、フルフィルメント、OMOストアで利用できる統合在庫管理システムで、10,000社の導入実績を誇ります。受注データから送り状や納品書を作成できるため、出荷業務の効率化が期待できるでしょう。また、スマホに連携したハンディターミナルを導入し、高速スキャンができることも強みです。いずれのプランも初期費用は無料で、出荷量が月50件までなら月額費用も無料で利用できるので、導入の検討ハードルは低いと言えるでしょう。
ポイント
- 自社倉庫や委託倉庫、フルフィルメント、OMOストアで利用できる
- ハンディターミナルで高速スキャンができる
- 料金プランは無料プランもあり
【導入と操作のしやすさを追求】みえぞう
みえぞうは、株式会社ビッツが提供するWeb型の在庫管理システムです。製造業・卸売・小売業・医療・福祉業・サービス業と、さまざまな業種に対応可能です。強みは、操作性を徹底的に追求したシステムであることでしょう。アフターサービスも充実しているので安心して利用できます。
ポイント
- 操作性を追求しているため不慣れな人でも使いやすい
- 幅広い業種に対応
- 無料お試し期間あり
【豊富な機能と選べるメニュー】eee CLOUD 在庫管理システム
eee CLOUDは、東京貿易グループのソフトウェア開発会社であるテービーテック株式会社が提供する、クラウド型の在庫管理システムです。受注、発注、入出荷管理や棚卸登録などを標準機能のみで利用できます。選べるメニューの拡張性が高いため、卸・小売業から製造業など、幅広い業種で導入されています。月額費用20,000円〜の簡易版でも、ユーザー数、倉庫・店舗数の登録は無制限で豊富な機能を利用可能です。
ポイント
- 標準機能に備わっている機能が豊富
- 選択メニューが多く、自社にあわせたカスタマイズも可能
- 料金プランは月額費用20,000円〜
テックポート株式会社(TECHPORT CO., LTD.) eee CLOUD 在庫管理システムは、インターネット環境があればどこからでもアクセス可能な在庫管理サービスです。シンプルな画面構成で、初心者向けに設計されています。このサービスは、品質、技術、セキュリティを保ちつつ、最小限のマスタ整備ですぐに在庫管理ができるようになっています。また、アラート機能で在庫不足を見逃さないようにし、カスタマイズも自由自在です。
【ECにおすすめ】mylogi
mylogiは、EC運営会社のアートトレーディング株式会社が提供するECむけの在庫管理・物流管理システムです。EC運営会社が提供するサービスなので、EC事業者に必要な機能はすべて揃っており、業務改善が期待できるでしょう。 管理画面はシンプルで業務フローも簡単なため、不慣れな方でも利用可能です。また、EC経験者によるサポートが充実していることも特徴です。
ポイント
- EC運営会社が提供するEC事業者むけのサービス
- 操作性に優れている
- 初期費用50,000円、月額費用8,800円〜
アートトレーディング株式会社
mylogiは、D2Cビジネスを支えるプラットフォームで、商品管理から受注、出荷、在庫管理、出荷、配送までワンストップで管理することができます。
【アパレルにおすすめ】イチゴJam
イチゴJamは、アパレルむけの在庫管理システムです。業界に特化したサービスなので、展示会の準備時間がかかりすぎる等の、業界特有の課題解決も期待できるでしょう。料金は要問合せとなっています。
ポイント
- アパレルに特化したシステム
- 業界特有の課題解決に強い
- 料金は要問合せ
【BtoBにおすすめ】販売管理・在庫管理のセルフィー
セルフィーは、BtoB事業者むけの、ASP・クラウド型販売管理・在庫管理システムです。BtoB卸売ECサイトも構築できるのがセルフィーの強みです。在庫を正確に管理する機能と、取引先にもリアルタイムに共有できる仕組みが揃っているため、業務効率化が期待できるでしょう。
ポイント
- BtoB卸売ECサイトも構築できる
- 取引先へのリアルタイムが共有も可能
- 30日間の無料お試し期間あり
【物流や卸売におすすめ】@wms
@wmsは、株式会社アトムエンジニアリングが提供する、倉庫・3PL・卸売業・ネット通販業むけのクラウド型の在庫管理システムです。導入すれば、リアルタイムでの在庫管理・在庫精度の向上・倉庫内の在庫の見える化が実現します。また、入荷検品・入庫・出庫・出荷検品などには、ハンディターミナルが利用でき、作業効率の向上が期待できます。
ポイント
- リアルタイムでの在庫管理・在庫精度の向上・倉庫内の在庫の見える化が実現
- ハンディターミナルの利用が可能
- 料金は要問合せ
自社の業界・業種に合った在庫管理システムで、日々の業務を効率化しよう
在庫管理システムを導入することで、業務効率の向上や、人為的なミスを防げます。とはいえ、あらかじめ課題や改善点などを洗い出しておかないと、機能が無駄になってしまったり、導入コストがかさんでしまったりする可能性もあるため注意が必要です。導入後の効果を高めるためにも、在庫管理システムを選ぶ際の4つのポイントを押さえておくことが大切です。本記事を参考にしながら、自社に最適な在庫管理システムを導入しましょう。
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