人事システムは、人事担当者や労務担当者の作業負担を減らしてくれる便利なシステムです。導入すると、今までアナログ管理だった従業員情報や人材評価のデータを一元管理できます。システムによっては、労務手続きの電子化にも対応しており、テレワーク化・ペーパレス化の一助にもなってくれるでしょう。本記事では、人事システムの種類と特徴、人事システムを導入するメリットについて解説します。記事の後半ではおすすめの人事システムの紹介もありますので、導入する人事システムでお悩みの方はぜひ参考にしてください。
人事システムとは?
人事システムとは、人事に関するあらゆる業務を効率化してくれるシステムのことです。人事や労務に関わるこれらの業務をアナログな作業から解放しシステム化してくれます。
人事システムの役割
- 社会保険手続き
- 年末調整
- 新入社員の採用
- 人事評価
- 勤怠管理
- 従業員情報の管理
- 給与計算
- 人材開発
人事システムの種類と特徴
人事システムは、業務ごとに種類の違うシステムがリリースされています。導入するシステムを検討する際には、自社にあった適切なシステムを選択しなければなりません。この章では、人事システムにはどのような種類・特徴のシステムがあるのかについて、詳しくみていきましょう。
勤怠管理システム
勤怠管理システムとは、従業員の勤怠状況を管理するシステムです。出勤・退社時間や有休の取得申請、有休の残日数などの管理ができます。システムによっては、ワークフローの機能も搭載しており、有休の申請から承認までを一貫してシステム上で行えます。給与計算システムと連携させ、勤怠情報の手入力なしで給与計算を行うことも可能です。
勤怠管理システムは従業員にとっても総務・労務担当者にとっても便利なシステムです。労働時間の管理に関する作業や手間を削減してくれます。本記事では勤怠管理システムを導入するメリットや比較する際の7つのポイント、おすすめの勤怠管理システムについて[…]
給与計算システム
給与計算システムとは、従業員の給与や賞与などを計算するためのシステムです。自社の給与体系や従業員の勤怠状況に沿った金額の算出が可能であり、給与計算作業の効率化が図れます。給与明細の出力も可能です。
給与計算ソフトは給与担当者や労務担当者の業務を効率化してくれるソフトです。各社からさまざまな特徴を持ったソフトがリリースされており、どのソフトを導入するべきか迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では給与計算ソフトのメリット[…]
人事評価システム
人事評価システムとは、自社の人材評価基準に沿った従業員の評価や目標設定、目標の進捗率などを管理できるシステムのことです。システムによって従業員の評価が分析されるため、公平性を保った人事評価ができます。
人事評価システムは、従業員の評価や実績、目標などを管理してくれるシステムのことです。今までアナログ作業の多かった人事評価業務がシステム化されると、作業の効率化が期待できるでしょう。本記事では、人事評価システムを導入するメリットや注意点、シス[…]
労務管理システム
労務管理システムとは、従業員の入退社に関する手続きや社会保険、年末調整などを行うシステムです。従業員の個人情報もあわせて管理できます。システムによっては電子申請や電子契約の機能が搭載されており、ペーパレス化や電子化へ対応しています。
労務管理システムは、煩雑な作業が多い労務手続きを効率化してくれるシステムです。入退社手続きや社会保険手続き、マイナンバー管理などの機能が搭載されています。本記事では、労務管理システムの項目や導入するメリット、システムを選ぶ際の5つのポイント[…]
採用管理システム
採用管理システムとは採用活動の業務を管理、サポートしてくれるシステムです。応募者の情報管理や求人票の作成、求人媒体への掲載など採用に管理する業務をシステム上でまとめて行えます。新入社員・中途社員どちらにも対応しています。
採用業務は、採用スケジュールの決定から始まり、説明会、選考、内定式、入社までの一連のフローを一手に担うため、かなりのコストや時間がかかるものです。こうした採用業務をシンプルにして効率化できるのが「採用管理システム」です。本記事では、採用管理[…]
タレントマネジメント / 人材開発システム
タレントマネジメント(人材開発)システムとは、人材開発に関するあらゆる業務を行えるシステムのこと。たとえばデータに基づいた最適な人事配置の提案、人材データの分析、マネージャ―評価のスコア化などが可能です。
タレントマネジメントとは、従業員を育成し、最大限の力を発揮してもらえるようマネジメントするです。労働人口の減少や働き方改革の影響などもあり、近年注目されている考え方です。本記事ではタレントマネジメントを行うメリットや注意点、ツールを比較する[…]
eラーニングや研修システム
eラーニングや研修システムとは、インターネット上で研修を行うシステムのこと。今まで自社や外部の講師が直接従業員へ行っていた研修を、パソコンやタブレットなどを利用した自己学習へ切り替えられます。個人の業務の都合に合わせて研修日時を選択できるようになるため、効率的に研修を進めらるでしょう。
リモートワークが続くなかで、eラーニングシステムによる研修方法を検討している企業も多いのではないでしょうか。自宅でも学習できるだけでなく、コストも削減しやすい点から、eラーニングシステムの需要が高まっています。本記事では、これからeラーニン[…]
人事システムを導入するメリット
人事システムを導入すると、これからご紹介する2つのメリットが得られます。人事業務の煩雑さにお困りの人事担当者の方や人材活用に不安を感じている経営者の方はぜひご一読ください。
メリット1.人事業務の効率化・コスト削減につながる
人事システムを導入すると人事業務の効率化が図れます。今まで人事業務というと、担当者がリストを作成したり数値を集計したりして、アナログに処理を行うことが一般的でした。しかし、人事システムを使えば、アナログな作業はほとんどなくなります。コンピテンシーに基づいた従業員の評価も、本人の目標入力もすべてシステム上で実現可能です。また、労務面では電子契約や電子申請に対応したシステムもリリースされており、紙を介さず効率的に契約や申請作業を進められます。これらの業務が、システム上で可能であれば、今まで用紙の回収や転記、集計などに割いていた人手は必要なくなります。そのため、人事業務に関するコストの削減にもつながるのです。
メリット2.人材活用につながる
人事システムを導入すると、アナログ作業では難しかった人材配置の最適化が叶います。今までのように、紙の資料を見比べながらひとりひとりの評価や経歴を比較せずとも、システム内に一元管理された人事データを元にシステムが最適な人材配置を提案してくれます。また、アナログでは実現できなかった配置シミレーションやハイパフォーマー分析なども可能となり、今まで以上に人材を活用した組織を作り上げられるでしょう。
人事システムを比較するときのポイント
人事システムは長期間続けて使用することの多いシステムです。導入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、これからご紹介する5つのポイントをしっかりと検討した上で導入するシステムを選びましょう。
ポイント1.自社の導入目的にあった範囲の機能があるのか
人事システムはシステムごとに対応している業務範囲が異なっています。たとえば、給与計算と勤怠管理が一体となったシステムであったり、人事評価とタレントマネジメントが一体化となったシステムであったりします。そのため、「自社のどの業務をシステム化したいのか」を明確にした上で、その業務に対応した機能が備わっているシステムを選ばなければなりません。システムを導入する際には、そのシステムがカバーしている業務の範囲を事前に確認するようにしましょう。
ポイント2.使いやすいUIになっているか
そのシステムを使う人にとって使いやすいUIかどうかという点も忘れてはならない観点です。「必要な機能が揃っているから」と、使いづらいUIのシステムを無理やり導入すると、作業がなかなか進まない上に無駄なストレスまで溜まってしまいます。そのような状態では長期的に活用することは難しいでしょう。見落としがちポイントではありますが、無理せず利用できるUIのシステムを選ぶ必要があります。
ポイント3.他のシステムと連携できるか
人事システム間、または他の種類のシステム間で連携可能かどうか確認しましょう。たとえば、勤怠管理システムと給与計算システムを連携できれば、労働時間や有休の取得状況などをデータ連携でき、そのまま自動的に給与額の計算が可能となります。また、給与計算システムから給与額を会計システムに自動連携できるのであれば、仕訳を手動で入力する必要もなくなるでしょう。このように、人事システムと他のシステムの連携ができれば、その分効率化できる業務が増えます。何のシステムと連携ができるのか、また何のシステムと連携をしたいのかを十分考慮の上、システムを選定しましょう。
ポイント4.サポート体制が整っているか
人事システムは長期間使い続けることの多いシステムです。たとえば、人事評価システムは長期的に従業員のキャリア形成を行うために利用します。そのため、短期間でシステムを入れ替えてしまうと、長期的な計画が立てづらくなってしまいます。一つのシステムを長期間使い続けた方が効率的でしょう。長期間使用していると、その間に法改正や社会情勢の変化など、人事業務を取り巻く環境にさまざまな変化が出てきます。それらの変化に対応するサポート体制が整っているシステムでなければ、長期間使用し続けることはできません。法改正へのサポートがないシステムを選んでしまうと、法改正が発生した際にはシステムの再変更を検討しなければならなくなってしまうからです。導入するシステムを選ぶときには、サポート体制が整ったシステムを選びましょう。
ポイント5.使い続けられる料金か
料金が自社にとって無理のない金額であるかどうかも重要なポイントです。料金体系は月払いや年払いなどシステムによって異なってはいますが、基本的に人事システムへの支払いは固定費となり、定期的に支出しなければならない費用です。自社の経営を圧迫するような金額では、いざというときに支払いができなくなってしまいます。導入前に複数社から見積りを取得し、比較・検討するようにしましょう。
人事システムの種類別おすすめツールを紹介
ここからは数ある人事システムの中からおすすめのツールをご紹介します。システムの種類別に分類していますので、興味のある種類のツールをチェックしてみてください。
勤怠管理システム
Touch On Time
Touch On Timeは国内外で210万人以上に利用されている勤怠管理システムです。打刻、勤怠集計、シフト管理、有休管理といった勤怠に関わる業務を効率化できます。ワークフロー機能も搭載されており、打刻忘れや有休の申請も一貫して同一のシステム内で実現可能です。
ポイント
- 導入社数31,000社以上の実績
- タイムレコーダーの種類が豊富
- 初期費用無料、1人あたり月額300円から利用可能
給与計算システム
freee人事労務
freee人事労務はクラウド会計ソフトで有名なfreeeから提供されているシステムです。給与計算、給与明細書の自動作成、勤怠管理、年末調整といった人事や労務に関わる多様な業務をシステム化してくれます。打刻やワークフロー機能も兼ね備えており、勤怠管理から給与計算までを自動的に行えます。
ポイント
- チャット・メール・電話による手厚いサポート体制
- 会計版のfreeeや他のシステムと連携可能
- 月額1,980円(税抜)から導入可能
人事評価システム
カオナビ
6年連続でシェアNo.1を誇る人事評価システムのカオナビ。人材情報の一元化や人事業務の効率化、人材配置シミレーションなど人事評価に関わる多数の機能を備えています。2段階認証やIPアドレスの制限を始めとするセキュリティ対策も万全。導入前また導入後にもセミナーやメール・電話にてサポートを受けられます。
ポイント
- モチベーション分析や離職分析も可能
- 継続率99%に裏付けされた使いやすさ
- 料金の確認には問い合わせが必要
労務管理システム
SmartHR
SmartHRは知名度の高い労務管理システムです。テレビCMなどで目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。SmartHRは労務管理と人事評価の2つの機能を備えたシステム。年末調整や雇用契約といった労務業務と人事評価や従業員サーベイといった人事業務の両方を1つのシステムで行えます。
ポイント
- 登録社数40,000社以上の有名システム
- さまざまな外部システムとの連携が可能
- 料金の確認には問い合わせが必要
採用管理システム
ジョブカン
勤怠管理やワークフローシステムを提供しているジョブカンシリーズでは採用管理システムもリリースされています。応募者の獲得、候補者の管理、選考の実施といった採用活動をシステムで管理でき、また採用活動の効果分析も可能です。
ポイント
- シリーズ累計での導入実績は120,000社以上
- LINEで応募者とメッセージのやりとりができる
- 月額8,500円(税抜)から導入可能
タレントマネジメント / 人材開発システム
HRBrain
HRBrainは人事評価の効率化や人材配置の最適化を叶えてくれるシステムです。システム内に一元管理された人事データを元に、システムによる納得のいく人事評価やポテンシャル人材の把握などができます。
ポイント
- 大手企業の導入実績多数あり
- グラフや画像を活用し可視化されたUI
- 料金の確認には問い合わせが必要
eラーニングや研修システム
Schoo
Schooはオンライン研修・eラーニングを提供するシステムです。大手有名企業にも多数利用されており、導入社数は2,000社を超えています。オンラインにてさまざまなジャンルの研修が受講でき、各業界における第一人者や専門家が登壇する授業も提供されています。
ポイント
- プロの講師による6,000本以上もの授業を配信
- 階層別・職種別の研修も可能
- 1ID1,500円から利用可能
自社に必要な人事システムを見極めよう
人事システムには多数の種類があります。勤怠管理のみを行うシステムや給与計算と労務管理が一体となったシステムなど、システムによってカバーしている業務範囲が異なっています。そのため、人事システムの導入を検討するときには、「自社のどの業務をシステム化したいのか」を洗い出し、その業務範囲をすべてカバーしたシステムを探す必要があります。一つのシステムですべての範囲をカバーしきれないときには、業務範囲の異なる複数のシステムの導入を検討してもよいでしょう。人事システムを検討する際には、その他にもこれらのことに気を付けなければなりません。
ポイント
- 使いやすいUIになっているか
- 他のシステムと連携できるか
- サポート体制が整っているか
- 使い続けられる料金か
これらの事項を確認の上、自社にとって最適なシステムを見極めましょう。